平成27年・配偶者が定住者(日系3世)で在留特別許可|婚姻約5年5月・子なし・出頭申告で定住者(1年)が認められた事例(B類型許可第1事例)
2026/08/07
事例の概要
配偶者が日本人でなくても、その在留資格が別表第二であれば話は変わります。平成27年分の事例集(出入国在留管理庁が公表)のB類型(配偶者が正規に在留する外国人の場合)許可第1事例です。
違反態様は不法残留、端緒は出頭申告。在日約3年4月のうち違反期間は約1年3月です。婚姻期間は約5年5月で、夫婦間の子はありません。配偶者の在留資格は「定住者」で、特記事項に日系3世と記載されています。刑事処分はありません。許可内容は「定住者(1年)」です。判断は令和5年改正入管法の施行前、現行ガイドラインの改定前のものです。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
- 第2の2(2)(積極):同号が特に考慮する積極要素とするのは、永住者・特別永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者という別表第二の在留資格を有する者との家族関係です。配偶者の「定住者」は別表第二ですので、本事例はこの積極要素に直接乗ります。
- 婚姻の実質:婚姻期間約5年5月は平成27年のB類型許可5件で最も長く、共同生活の相当性を裏づけます。子はありませんが、同項は子の存在を必須の要件としていません。
- 第2の9(積極):不法滞在の事実を申告するため自ら出頭したこと。
- 第2の5・第2の6(消極):約1年3月の不法在留期間と、不法残留という退去強制事由。どの号に当たるかは条文で確認を要します。
結論を分けた一線はどこか
決め手は、配偶者の在留資格が別表第二の「定住者」であったことと約5年5月の婚姻期間の組合せと読めます。子がない点は婚姻期間の長さで補われたと考えられます。
同じB類型の不許可第1事例は、同じく出頭申告で刑事処分もありませんが、婚姻期間は約11月で、配偶者の在留資格は事例集に記載がなく、技能実習先から逃亡した経緯が記されています。配偶者の在留資格が別表第二であることを示せるか、婚姻の期間と実質が積み上がっているかが分岐点と読めます。
弁護士のコメント
第1に、最初に確認すべきは配偶者の在留資格の種別です。永住者や定住者のように別表第二であれば第2の2(2)の足場に直接乗りますが、技術・人文知識・国際業務、留学、家族滞在、経営・管理といった別表第一の在留資格では、この積極要素に直接は当たりません。その場合は、本人が別表第一の一の表・二の表の在留資格該当性を有すること(第2の9)や人道上の配慮、子の利益といった別の柱で組み立てます。
第2に、許可された在留資格の中身です。本事例は配偶者が定住者であるため「定住者(1年)」が許可されています。配偶者が永住者である事例では「永住者の配偶者等」が許可されており、配偶者の資格に対応した資格が選ばれます。申請の見通しを立てる段階からこの対応関係を踏まえると、準備の的が絞れます。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋です。配偶者の在留資格が別表第一である事案の許可例は掲載が少ないのですが、それは抜粋の中の話です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。
観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦は不受理とされた婚姻と認知を憲法的な観点から当局と交渉して成立させ、過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しました。
国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件への対応実績があり、中国籍の方の重大事件にも多数対応しています。
多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。
結語
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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