平成27年・内縁期間約11年9月が評価され在留特別許可|法律婚は約1年6月・子なし・不法残留約15年6月の事例(A類型許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
法律上の婚姻期間は約1年6月、夫婦間の子もなし。それでも許可された事例で、婚姻期間の評価を考えるうえで欠かせない1件です。平成27年分の事例集(出入国在留管理庁が公表)のA類型(配偶者が日本人の場合)許可第2事例です。
違反態様は不法残留、端緒は出頭申告。在日期間・違反期間はいずれも約15年6月です。婚姻期間は約1年6月で、夫婦間の子はありません。刑事処分はなく、特記事項に内縁期間が約11年9月と記載されています。許可内容は「日本人の配偶者等(1年)」です。判断は令和5年改正入管法の施行前、現行ガイドラインの改定前のものです。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
- 第2の2(1)(ウ)(積極):同項は、法的な婚姻、相当期間の共同生活と相互扶助、夫婦間に子があるなど婚姻が安定かつ成熟していることを要素とします。法律婚は約1年6月で子もなく、文言だけでは要素が揃わないように見えますが、内縁期間を加えれば共同生活は約13年3月に及びます。
- 第2の9(積極):不法滞在の事実を申告するため自ら出頭したこと。
- 第2の5(消極):約15年6月の長期の不法在留期間。明示的な消極要素とされたのは令和6年3月改定です。ただし同項には、その間に地域社会との関係を構築していれば別途積極要素とする留保があります。
- 第2の6(消極):不法残留という退去強制事由。どの号に当たるかは条文で確認を要します。
結論を分けた一線はどこか
決め手は、婚姻の安定性を法律婚の期間だけで測らなかった点にあると読めます。内縁期間約11年9月が特記事項に置かれているのは、当局がこの期間を評価に取り込んだことの表れといえます。
子がない点は、通常なら第2の2(1)(ウ)の「夫婦間に子があるなど」を欠く不利です。同項は子の存在を必須の要件とせず、安定性の例示として掲げるにとどまります。約13年3月の共同生活が、その例示に代わる裏づけと評価されたと読めます。同じA類型の不許可第1事例は婚姻約1年10月とより長いのに不許可で、同居・婚姻の実態に疑義が持たれています。
弁護士のコメント
第1に、内縁関係の立証です。事実婚の期間を証拠で示せれば、法律婚の短さを実質的に埋められる場合があります。同居開始時期を示す住民票の履歴や賃貸借契約書、家計の一体性を示す記録、近隣との交流を示す資料を時系列で並べる作業が中心です。約11年9月という長さは陳述書だけでは足らず、客観資料の積み上げが要ります。
第2に、長期の不法在留との関係です。約15年6月は現行ガイドラインでは明示的な消極要素ですので、改定前の判断である本事例と同じ評価とは限りません。他方、その期間の内側に約13年3月の共同生活が積み重なる構造を主張すれば、第2の5の留保に接続させる余地があります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集の掲載は各年20件前後です。内縁期間の長い事案の許可例が他に見当たらないとしても、それは抜粋の中の話です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ています。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としています。
観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦は不受理とされた婚姻と認知を憲法的な観点から当局と交渉して成立させ、過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しました。
不法就労助長罪に問われ退去強制の危機にあった女性の事案では、退去強制事由には故意・過失が不要とする従来の実務の在り方を正面から問う訴訟を現に続けています。この事案では在留特別許可を得た後も、違反認定処分そのものの取消しを争っています。
多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標とします。接見の初動から公判の結審まで松村弁護士自身が全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳します。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応できます。
結語
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------