舟渡国際法律事務所

平成28年・「定住者」で在留中に覚せい剤取締法違反、執行猶予でも不許可|15歳で来日した方の事例(D類型不許可第7事例)

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平成28年・「定住者」で在留中に覚せい剤取締法違反、執行猶予でも不許可|15歳で来日した方の事例(D類型不許可第7事例)

平成28年・「定住者」で在留中に覚せい剤取締法違反、執行猶予でも不許可|15歳で来日した方の事例(D類型不許可第7事例)

2026/08/06

事例の概要

執行猶予が付いたから日本に残れる、という説明が当てはまらない類型です。平成28年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のD類型(その他)不許可第7事例です。違反態様は薬物法令違反、端緒は警察による逮捕で、在日約6年1月、違反期間の欄は空欄です。被退去強制歴の記載もありません。刑事処分は覚せい剤取締法違反により懲役1年6月、執行猶予3年の判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。在留希望の理由は本邦の生活基盤です。特記事項には、日本人と婚姻した母親の連れ子として15歳で来日し、在留資格「定住者」で在留中に有罪判決を受けたことが記されています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前・改定前ガイドラインの下での判断です。

  • 消極要素・第2の6:入管法24条4号チは薬物関係法令違反による有罪を退去強制事由とし、執行猶予が付いた場合も除外しません。ここが4号リと決定的に異なります。
  • 消極要素・第2の3:薬物事犯は素行面でも重く評価されます。
  • 積極要素・第2の2(2):母が日本人と婚姻し、本人は定住者の在留資格を有していました。もっとも事例集は母との同居や扶助の状況を記していません。
  • 積極要素・その他:15歳で来日し在日約6年1月という生活の基盤。第2の9の出頭申告には当たりません。

結論を分けた一線はどこか

4号チの構造上、執行猶予の獲得は退去強制事由の発生を防ぎません。生活基盤という積極要素が薬物事犯という消極要素を上回るとは判断されなかったと読めます。同じ平成28年D類型の許可第2事例は、在日約5年10月と本事例より短いのですが、日本国籍の実子を監護養育し、自ら出頭して定住者(1年)が許可されました。在留の長さや在留資格の種類ではなく、素行面の消極要素の存在が結論を決めたと考えられます。

弁護士のコメント

2点を述べます。

第1に、薬物事件での目標設定です。入管法24条4号チは執行猶予でも該当しますので、執行猶予を目標に据えた弁護活動では在留を守れません。起訴前の段階で不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性があります。この構造を踏まえない方針は避けるべきです。

第2に、薬物の認識です。所持や使用の認識の有無は、刑事事件では故意の中心に置かれます。入管実務では退去強制事由の判断に故意・過失を要しないという運用が続いており、責任主義の射程をめぐる論点として松村大介弁護士が現に係争中です。認識に争いがあるなら、逮捕の直後から徹底して争う必要があります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集が載せるのは各年20件前後で、判断の全部ではありません。薬物事犯の不許可事例が並ぶことは、個別の結論を先に決めるものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者については、証拠を徹底して分析し、被告人質問と反対尋問により無罪判決を獲得しております。裁判員裁判の対象事件や報道された重大事件にも多数対応しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

薬物事件では、執行猶予と在留の可否が結びつかないという構造をまず知っていただく必要がございます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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