舟渡国際法律事務所

平成28年・他人名義の旅券で不法入国し偽装日系人として約19年3月在留、不許可|定住者の婚約者がいても許可されなかった事例(D類型不許可第2事例)

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平成28年・他人名義の旅券で不法入国し偽装日系人として約19年3月在留、不許可|定住者の婚約者がいても許可されなかった事例(D類型不許可第2事例)

平成28年・他人名義の旅券で不法入国し偽装日系人として約19年3月在留、不許可|定住者の婚約者がいても許可されなかった事例(D類型不許可第2事例)

2026/08/06

事例の概要

19年という在日期間の長さが、そのまま有利に働くわけではありません。平成28年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のD類型(その他)不許可第2事例です。違反態様は不法入国、端緒は当局の摘発で、在日期間・違反期間はいずれも約19年3月です。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。在留希望の理由は、外国籍の婚約者(在留資格「定住者」)と婚姻したいことでした。事例集は、他人名義の旅券で不法入国し、偽装日系人として在留していたことを不許可の事情として挙げています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前・改定前ガイドラインの下での判断です。

  • 積極要素・第2の2(2):別表第二の在留資格(永住者・特別永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)を有する者との家族関係は特に考慮されますが、本事例は婚約の段階で婚姻が成立しておらず、この要素には乗りません。
  • 消極要素・第2の3:他人名義の旅券の使用は、(ウ)が挙げる公的書類の不正な受交付や行使に近い行為です。日系人であると偽って在留していた点も重く働きます。もっとも(イ)が対象とするのは他の外国人に関わる行為ですので、自己の在留の偽装が直接当たるかは条文に当たって確認する必要があります。
  • 消極要素・第2の5と第2の6:約19年3月に及ぶ不法入国後の在留。
  • 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は摘発)。

結論を分けた一線はどこか

本事例で決定的なのは、在留の出発点そのものが他人名義の旅券による不法入国であったことです。同じ平成28年D類型の許可第4事例は、違反期間が約31年1月と本事例より長いのですが、自ら出頭して申告し、定住者(1年)が許可されました。期間の長短ではなく、在留の始まり方と発覚の端緒が結論を分けたと読めます。

弁護士のコメント

刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。

第1に、文書の名義や真偽についての認識です。刑事事件では、これが故意の中身として当然に検討されます。他方、入管実務では退去強制事由の判断に故意や過失は要件でないという運用が長く踏襲されてきました。この運用の当否は、責任主義の射程を行政処分にどこまで及ぼすかという問題を含み、松村大介弁護士が現に係争中の論点です。結論を先取りすることはできませんが、認識の有無を早い段階から丁寧に争っておくことが、後の入管手続における主張の基礎になります。

第2に、婚姻の成立です。相手が定住者ですから、婚姻が成立していれば第2の2(2)に乗る可能性がありました。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集が載せるのは各年20件前後にすぎません。似た経緯の許可例がないことは、許可の可能性を否定する材料になりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者については、証拠を徹底して分析し、被告人質問と反対尋問により無罪判決を獲得しております。裁判員裁判の対象事件や報道された重大事件にも多数対応しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

在留の出発点に問題がある場合、その後の年月だけでは天秤は動きにくくなります。早い段階でのご相談をお勧めいたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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