平成28年・違反期間約31年1月でも出頭申告で在留特別許可|在日約37年6月・定住者(1年)が認められた事例(D類型許可第4事例)
2026/08/06
事例の概要
不法在留の期間が30年を超えていても許可された例があります。平成28年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のD類型(その他)許可第4事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は出頭申告で、在日約37年6月・違反約31年1月です。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。在留希望の理由は本邦に生活基盤があることでした。特記事項には、本邦在留期間が37年間に及ぶことが記されています。許可内容は定住者(1年)です。家族関係についての記載はありません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前・改定前ガイドラインの下での判断です。
- 積極要素・第2の9:不法滞在を申告するため自ら出頭したこと。
- 積極要素・その他:在日約37年6月という生活の基盤。地域社会との関係、第三者の支援、税の納付状況も考慮の対象ですが、事例集は内容までは記していません。
- 消極要素・第2の5:不法在留約31年1月。令和6年改定で長期化が明示的な消極要素と位置づけられました。従前は積極要素にも消極要素にもなり得るとされていましたので、同じ事情でも現在では評価が変わり得ます。
- 消極要素・第2の6:不法残留。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。第2の2の家族関係、第2の3の素行不良に当たる事情の記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本事例は、家族関係という強い積極要素の記載がないまま、本邦での年月の厚みと自主的な出頭で許可に至っています。同じ平成28年D類型の不許可第2事例は、在日・違反いずれも約19年3月で本事例より短いのですが、他人名義の旅券で不法入国し偽装日系人として在留しており不許可でした。期間の長短ではなく、その期間の過ごし方と発覚の端緒が分かれ目であったと読めます。
弁護士のコメント
刑事処分がない事例ですので、2点を述べます。
第1に、長期の不法在留を自ら申告するという判断です。本事例は改定前ガイドラインの下での判断であり、当時は在留の長期化が積極にも消極にも働き得るとされていました。令和6年改定で長期化が明示的な消極要素とされた現在は、同じ事情での見通しを慎重に立てる必要があります。
第2に、生活基盤の立証です。居住の継続、就労と納税、地域との関わり、支援者の存在を示す資料を積み上げます。手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、異議申出と進み、注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後を抜粋したものにすぎず、許可の全体像を示すものではありません。同種の許可例が見つからないことを、あきらめの理由にする必要はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案では、取調べへの徹底した対応と不当な取調べへの抗議により、全件について不起訴処分を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
長期の不法滞在を自ら申告するかどうかは、見通しを立ててから判断すべき事柄でございます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------