平成28年・家族3人で出頭申告して全員に定住者(1年)|在日約18年9月、子は9歳8月で在留資格未取得だった事例(C類型許可第1事例)
2026/08/06
事例の概要
日本で生まれた子が在留資格を持たないまま育ってきたご家族の例です。平成28年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のC類型(外国人家族の場合)許可第1事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は家族全員での出頭申告です。本人は在日約18年9月・違反約18年6月、配偶者は不法入国で在日・違反いずれも約16年5月です。子は本邦で出生した後に在留資格を取得しておらず、判定時に9歳8月でした。刑事処分と被退去強制歴の記載はありません。許可内容は家族3人とも定住者(1年)です。子の就学状況は事例集の記載からは判明しません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前・改定前ガイドラインの下での判断です。
- 積極要素・第2の2(3):本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、本国での就学が困難で、地域社会に溶け込んでいる子とその監護養育者が対象です。子は9歳8月で生涯を本邦で過ごしていますが、就学の記載がなく断定はできません。
- 積極要素:本邦で家族とともに生活するという子の利益の保護の必要性。明示されたのは令和6年3月改定(参議院附帯決議14項)です。
- 積極要素・第2の9:家族全員が自ら出頭して申告したこと。
- 消極要素・第2の5と第2の6:不法在留約18年6月と、本人・子の不法残留、配偶者の不法入国。長期化が明示的な消極要素とされたのは令和6年改定であり、どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。天秤を傾けたのは、子が生まれてからの生活のすべてを本邦で送ってきたことと、家族3人がそろって自ら出頭したことであると読めます。同じ平成28年C類型の不許可第1事例は、当局の摘発で発覚し、子は1歳と0歳、本人には窃盗の前科が1件ありました。本邦で積み上げた年月の厚みと素行面の消極要素の有無が分かれ目であったと考えられます。
弁護士のコメント
刑事処分の欄がない事例です。初動と立証の2点を述べます。
第1に、出頭申告の組み立てです。第2の9の積極要素となる一方、出頭は退去強制手続の開始でもあります。家族の誰にどの在留資格を求めるのかを先に整理して臨むのが望ましいところです。
第2に、在留資格のないまま本邦で出生した子についての立証です。出生に関する書類、居住の継続、就学や地域との関わりを示す資料が中心です。注4は退去強制令書の発付後の事情変更を原則として考慮しませんので、違反審査までに整えるのが安全です。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に載るのは各年20件前後で、その年の判断の全部ではありません。同じ事情の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを示しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的な観点から交渉して婚姻と認知を成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
子と共に不法滞在の状態にあるご家族では、子が本邦で送ってきた生活の実体をどの段階でどう示すかが結論を左右いたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------