舟渡国際法律事務所

平成28年・大麻取締法違反で懲役8月・執行猶予3年、被退去強制歴1回で不許可|「日本人の配偶者等」で在留中だった事例(A類型不許可第5事例)

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平成28年・大麻取締法違反で懲役8月・執行猶予3年、被退去強制歴1回で不許可|「日本人の配偶者等」で在留中だった事例(A類型不許可第5事例)

平成28年・大麻取締法違反で懲役8月・執行猶予3年、被退去強制歴1回で不許可|「日本人の配偶者等」で在留中だった事例(A類型不許可第5事例)

2026/08/06

事例の概要

正規の在留資格を持つ方が薬物事件で退去強制手続に入った例です。平成28年分の事例集(出入国在留管理庁が平成29年3月に公表)のA類型(配偶者が日本人の場合)不許可第5事例です。違反態様は刑罰法令違反、端緒は警察逮捕で、在日期間は約7年5月、婚姻期間は約1年9月、子はありません。違反期間の欄は原文で斜線です。刑事処分は、大麻取締法違反により懲役8月、執行猶予3年の判決です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。被退去強制歴が1回あります。事例集は、在留資格「日本人の配偶者等」で在留中に有罪判決を受けたものと記載しています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行前の判断です。

  • 消極・第2の6:入管法24条4号チは、薬物関係法令違反により有罪の判決を受けた者を退去強制事由とし、執行猶予が付いていても該当します。本件の消極評価の中心はここです。
  • 消極:被退去強制歴が1回あること。一度退去を強制された後の再度の違反という経緯が加わります。
  • 消極:端緒が警察逮捕のため、第2の9の出頭申告は働きません。
  • 積極になりきれなかった第2の2(1)(ウ):婚姻約1年9月で、夫婦間に子はありません。同項が求める婚姻の安定・成熟の例示には届きません。

不法在留の期間は問題となっていません。在留資格を有した状態での刑罰法令違反という構造です。

結論を分けた一線はどこか

同年A類型の許可事例は、いずれも刑事処分がありません。本件は正規の在留資格を持ち、婚姻期間も許可事例のいくつかより長いのですが、薬物関係法令違反による有罪判決と被退去強制歴1回という2つの消極要素が重なりました。ガイドライン第3が求める「積極要素が消極要素を明らかに上回る」状態から遠いと読めます。分かれ目は在留の形ではなく、退去強制理由となった事実の性質だと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、薬物事件では入管法24条4号チの構造が決定的です。本件の懲役8月は同条4号リ(無期又は1年を超える拘禁刑。全部執行猶予は除かれます)には当たりませんが、4号チには当たります。目標を執行猶予に置く方針では足りません。刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性があります。

第2に、薬物事件では対象物の認識が争点になり得ます。何を渡されたのか、それが規制薬物であると知っていたのかという点です。入管実務は退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用を続けており、松村大介弁護士はその当否を問う訴訟を係争中です。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

薬物関係法令違反の事案は、公表事例では不許可が並びます。もっとも事例集は各年20件前後の抜粋であり、そこに見える傾向がすべてではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が続く類型でありながら在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者の事案では、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。裁判員裁判対象事件や報道された重大事件にも多数対応しております。

在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された相談者の事案では、当局との交渉によって婚姻・認知を成立させ、過去の許可事例を分析して1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

当事務所は、不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。多くの罪名では、執行猶予判決を得ても結果として退去強制に至るためです。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

薬物事件では、執行猶予ではなく不起訴を目標に据えることが、在留の可否を分ける出発点となります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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