舟渡国際法律事務所

平成28年・自己経営店で外国人を不法就労させ婚姻約10年でも不許可|当局摘発・被退去強制歴1回・刑事処分なしの事例(A類型不許可第3事例)

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平成28年・自己経営店で外国人を不法就労させ婚姻約10年でも不許可|当局摘発・被退去強制歴1回・刑事処分なしの事例(A類型不許可第3事例)

平成28年・自己経営店で外国人を不法就労させ婚姻約10年でも不許可|当局摘発・被退去強制歴1回・刑事処分なしの事例(A類型不許可第3事例)

2026/08/06

事例の概要

婚姻が約10年に及び刑事処分もないのに不許可となった例です。出入国在留管理庁が平成29年3月に公表した平成28年分の事例集のA類型(配偶者が日本人の場合)不許可第3事例です。違反態様は不法就労助長、端緒は当局摘発で、在日期間は約15年、婚姻期間は約10年、夫婦間に子はありません。違反期間の欄は原文で斜線です。刑事処分はありませんが、被退去強制歴が1回あります。事例集は、婚姻・同居の実態に疑義がもたれたこと、自己が経営する店において外国人を不法就労させたことを挙げています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断ですが、当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。

  • 消極・第2の3(イ):他の外国人の不法就労や在留資格の偽装に関わる行為。自己の経営する店での不法就労は、この類型の中心に当たります。
  • 消極・第2の6:入管法24条3号の4は不法就労助長行為を退去強制事由としています。刑事処分の有無とは別に、この事実自体が評価の対象です。
  • 消極:被退去強制歴が1回あること。繰り返しという評価につながります。
  • 消極:端緒が当局摘発のため、第2の9の出頭申告は働きません。
  • 積極になりきれなかった第2の2(1)(ウ):婚姻約10年は長いのですが、同居の実態に疑義がもたれ、子もありません。

結論を分けた一線はどこか

婚姻約10年という期間は、同年のA類型許可事例のいずれよりも長いものです。それでも不許可となったのは、婚姻の実態が疑われたことで期間の長さが積極要素として働かず、他方に不法就労助長と被退去強制歴という消極要素が重なったためだと読めます。同年A類型の許可第5事例は、婚姻約16年で未成年の子3人があり、違反期間も約1年でした。婚姻の実体が確かめられるかどうかで、期間の意味が大きく変わると考えられます。

弁護士のコメント

第1に、不法就労助長では、雇い入れた外国人の在留資格をどこまで確認したかという故意・過失の評価が争点になり得ます。在留カードの提示を受けたか、就労資格を確かめたか、偽造を疑うべき事情があったかという点です。刑事処分がない本件でも、この事実関係は違反審査で正面から主張しておくべきものでした。

第2に、入管実務は退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用を長年続けてきました。松村大介弁護士は、この運用の当否を問う訴訟を係争中です。断定はできませんが、認識の内容を丁寧に立証することが後の主張の基礎になります。

第3に、被退去強制歴がある事案では、前回との違いを示す必要があります。前回の経緯、その後の生活、婚姻の実体を時系列で整理する準備が要ります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

不法就労助長は、公表事例では不許可が並ぶ類型です。もっとも、それは各年20件前後の抜粋から見える傾向にすぎません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、この類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。傾向は出発点であって結論ではありません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

不法就労助長罪に問われて強制退去の危機に直面した女性の事案では、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めております。この事件では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得しております。

特殊詐欺の出し子とされた20代の女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在などを総合的に主張し、不起訴処分を獲得しております。

当事務所は、不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。多くの罪名では、執行猶予判決を得ても結果として退去強制に至るためです。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

不法就労助長が問題となる事案では、確認の経緯と認識の内容を早い段階で記録に残しておくことが、後の主張の基礎となります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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