舟渡国際法律事務所

平成28年・不法入国で在日約14年6月の全期間が違反期間でも在留特別許可|日本人配偶者との婚姻約1年3月・子のない事例(A類型許可第3事例)

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平成28年・不法入国で在日約14年6月の全期間が違反期間でも在留特別許可|日本人配偶者との婚姻約1年3月・子のない事例(A類型許可第3事例)

平成28年・不法入国で在日約14年6月の全期間が違反期間でも在留特別許可|日本人配偶者との婚姻約1年3月・子のない事例(A類型許可第3事例)

2026/08/06

事例の概要

日本にいた期間のすべてが不法入国による違反期間という事案でも、許可は出ています。平成28年分の事例集(出入国在留管理庁が平成29年3月に公表)のA類型(配偶者が日本人の場合)許可第3事例です。違反態様は不法入国、端緒は出頭申告です。在日期間は約14年6月で、違反期間も同じ約14年6月です。日本人配偶者との婚姻期間は約1年3月、夫婦間に子はありません。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。許可内容は在留資格「日本人の配偶者等」(1年)です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断ですが、当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。

  • 積極・第2の2(1)(ウ):日本人との法律上の婚姻があります。子はなく婚姻約1年3月ですので、同項の例示には届きません。
  • 積極・第2の9:不法滞在を申告するため自ら官署に出頭したこと。
  • 消極・第2の5:約14年6月の不法在留期間。令和6年改定で明示的な消極要素とされました。従前は積極にも消極にもなり得るとされ、本件当時と現在で評価は変わり得ます。もっとも同項には、その間に日本人や地域社会との関係を築いている場合に別途積極要素として考慮する留保があり、14年6月の長さはこの留保が働く余地があります。
  • 消極・第2の6:不法入国という退去強制理由(どの号に当たるかは事案ごとに条文に当たって確認する必要があります)。

結論を分けた一線はどこか

本件の消極要素は約14年6月の不法在留期間で、積極要素は日本人との婚姻と出頭申告に限られます。それでも許可に至ったのは、婚姻の実態に疑義が向かず、素行の消極要素も刑事処分もなかったことが効いたと読めます。同じ平成28年A類型の不許可第2事例は、違反期間が約8年4月と本件より短いのに、婚姻・同居の実態への疑義と刑事処分が重なって不許可でした。期間の長さそのものが結論を決めるのではないと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、不法在留の期間が長い事案では、出頭申告に踏み切る前の準備が結論を左右します。期間の長さは消極要素ですので、それを補う積極要素を形にしてから出頭する組み立てが要ります。婚姻の実態、地域社会との関係、税や公的負担の状況などが手がかりです。

第2に、争う段階です。在留特別許可は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、法務大臣への異議申出と進む手続の最後の段階の判断ですが、注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しないとしています。違反審査の段階から資料を出すほかありません。不法入国の事案では入国の経緯についての供述が後の判断を縛ります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋で、許可された事案のすべてが載るわけではありません。公表資料に自分の事情が見当たらなくても、そこで結論を決める必要はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分そのものの取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知を当局との交渉によって成立させ、過去の許可事例を分析して1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者の事案では、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。

当事務所は、不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。多くの罪名では、執行猶予判決を得ても結果として退去強制に至るためです。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

不法在留の期間が長期に及ぶ事案では、期間の長さを補う積極要素を出頭の前に形にしておくことが結論を左右いたします。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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