舟渡国際法律事務所

平成28年・日本人配偶者との婚姻約1年10月で在留特別許可|子のない夫婦が不法残留約3年9月で出頭申告した事例(A類型許可第1事例)

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平成28年・日本人配偶者との婚姻約1年10月で在留特別許可|子のない夫婦が不法残留約3年9月で出頭申告した事例(A類型許可第1事例)

平成28年・日本人配偶者との婚姻約1年10月で在留特別許可|子のない夫婦が不法残留約3年9月で出頭申告した事例(A類型許可第1事例)

2026/08/06

事例の概要

夫婦にお子さんがない事案でも、在留特別許可は出ています。平成28年分の事例集(出入国在留管理庁が平成29年3月に公表。公表当時は法務省入国管理局)のA類型(配偶者が日本人の場合)許可第1事例です。違反態様は不法残留、端緒は出頭申告です。在日期間は約5年9月、うち違反期間は約3年9月、日本人配偶者との婚姻期間は約1年10月で、夫婦間に子はありません。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。許可内容は在留資格「日本人の配偶者等」(1年)です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断ですが、当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。

  • 積極・第2の2(1)(ウ):日本人との法律上の婚姻があります。もっとも同項は夫婦間の子の存在を婚姻の安定・成熟の指標に挙げており、婚姻約1年10月で子のない本件は例示に届きません。
  • 積極・第2の9:不法滞在を申告するため自ら官署に出頭したこと。
  • 消極・第2の5:約3年9月の不法在留期間。明示的な消極要素とされたのは令和6年改定で、従前は積極にも消極にもなり得るとされていました。
  • 消極・第2の6:不法残留という退去強制理由そのもの(どの号に当たるかは事案ごとに条文に当たって確認する必要があります)。

素行不良(第2の3)や人道上の配慮(第2の7)の記載はありません。

結論を分けた一線はどこか

ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討します。子という裏付けを欠く本件で天秤が傾いたのは、婚姻の実態に疑義が向かなかったことと、自ら出頭したことの組合せだと読めます。同じ平成28年A類型の不許可第1事例は、違反期間が約1年3月と本件より短く、やはり子はありませんでしたが、婚姻・同居の実態に疑義がもたれ、技能実習先を逃亡した経緯もあって不許可でした。効いたのは期間の長短ではないと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、出頭の前に何を揃えるかです。第2の9の出頭申告は積極要素ですが、資料を持たずに出頭すると、婚姻の実態を確かめる手がかりのないまま違反調査が進みます。同居を示す住民票や賃貸借契約、家計が一つであることの分かる口座や送金の記録、双方のご親族の陳述などが手がかりです。必要な資料は事案ごとに異なります。

第2に、出す段階です。手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、法務大臣への異議申出と進みます。在留特別許可は最後の段階の判断ですが、注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しないとしており、違反審査の段階から積み上げるほかありません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集はその年の事案から20件前後を抜き出したもので、許可の全体像ではありません。同じ組合せの許可例が公表資料に見当たらないことを、そのまま結論と受け取る必要はありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知が未了として一旦は受理されなかったところ、憲法的な観点から当局と交渉して婚姻・認知を成立させ、過去の許可事例を分析して1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

国際的な刑事事件、裁判員裁判対象事件、世界的に報道された事件への対応実績もあり、中国籍の方の重大事件も多数扱っております。

当事務所は、不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。多くの罪名では、執行猶予判決を得ても結果として退去強制に至るためです。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

子のない婚姻で申請する場合は、生活の共同性を示す資料を出頭の前から積み上げておくことが結論を左右いたします。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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