舟渡国際法律事務所

平成29年・自己経営の会社で不法残留者等を雇用し罰金50万円の略式命令、警察逮捕で不許可|在日約9年8月の事例(D類型不許可第8事例)

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平成29年・自己経営の会社で不法残留者等を雇用し罰金50万円の略式命令、警察逮捕で不許可|在日約9年8月の事例(D類型不許可第8事例)

平成29年・自己経営の会社で不法残留者等を雇用し罰金50万円の略式命令、警察逮捕で不許可|在日約9年8月の事例(D類型不許可第8事例)

2026/08/06

事例の概要

経営者としての採用の判断が在留を左右した事例です。平成29年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のD類型(その他)不許可第8事例です。違反態様は不法就労助長、端緒は警察による逮捕で、在日期間は約9年8月です。違反期間の欄は原典で空欄です。刑事処分は、入管法違反により罰金50万円の略式命令でした。被退去強制歴の記載はありません。在留希望の理由は、本邦に生活基盤があることでした。事例集は、自己の経営する会社において不法残留者等を雇用していたこと、及びこの刑事処分を不許可の事情として挙げています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は令和5年改正入管法の施行(令和6年6月10日)前・改定前の判断です。

  • 消極要素・第2の3(イ):他の外国人の不法就労又は在留資格の偽装に関わる行為は、特に考慮する消極要素です。不法残留者を自らの会社で雇用する行為は、この(イ)に直接当たります。
  • 消極要素・第2の6:不法就労助長行為は、入管法24条3号の4が退去強制事由を定めます。
  • 消極要素・素行:罰金50万円の略式命令という刑事処分。
  • 積極要素・その他:在日約9年8月の生活の基盤のみです。家族関係や人道上の配慮に当たる事情の記載はありません。
  • 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は警察による逮捕)。

結論を分けた一線はどこか

第3では、積極要素が消極要素を明らかに上回る必要があります。本事例の積極要素は在留の年月にとどまり、他人の不法就労に関わる行為と刑事処分がこれを上回りました。同じ平成29年D類型の許可第3事例も理由は本邦の生活基盤ですが、在日約24年で刑事処分がなく、幼少時に親族らの手配で入国した経緯があり、自ら出頭して定住者(1年)を得ています。同じ「生活基盤」でも、素行面の消極要素があるかどうかで結論は反対になります。

弁護士のコメント

2点を述べます。

第1に、雇用の場面で残すべき記録です。採用時に在留カードの記載と有効期間を確認したこと、資格外活動許可の有無を確かめたこと、就労時間を管理していたことは、いずれも確認を尽くしたという主張の裏付けになります。記録がなければ、後から説明しても裏付けを欠きます。

第2に、故意・過失の要件論です。相手が不法残留であることを知っていたか、知り得たかは、刑事事件では故意・過失として検討されます。他方、入管実務では退去強制事由の判断に故意・過失を要件としない運用が長く踏襲されてきました。責任主義の射程を行政処分にどこまで及ぼすかという論点であり、松村大介弁護士が現に訴訟で争っているところです。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

不法就労助長の類型は、公表事例では不許可が続いています。もっとも事例集は各年20件前後の抜粋にすぎず、この類型で許可が出ないことを意味しません。当事務所は、不法就労助長に問われた事案で在留特別許可を獲得しており、許可を得た後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。公表事例の傾向は出発点にとどまります。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

不法就労助長罪に問われて強制退去の危機に至った女性の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を係争中です。この事案では在留特別許可を獲得しており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

人を雇う立場では、確認の手順そのものが後日ご自身を守る資料になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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