舟渡国際法律事務所

平成29年・覚せい剤取締法違反で懲役1年6月・執行猶予3年、恋人が「永住者」でも不許可|執行猶予でも退去強制となる構造を示す事例(D類型不許可第5事例)

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平成29年・覚せい剤取締法違反で懲役1年6月・執行猶予3年、恋人が「永住者」でも不許可|執行猶予でも退去強制となる構造を示す事例(D類型不許可第5事例)

平成29年・覚せい剤取締法違反で懲役1年6月・執行猶予3年、恋人が「永住者」でも不許可|執行猶予でも退去強制となる構造を示す事例(D類型不許可第5事例)

2026/08/06

事例の概要

執行猶予が付いたから残れる、という説明が当てはまらない事例です。平成29年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のD類型(その他)不許可第5事例です。違反態様は刑罰法令違反、端緒は警察による逮捕で、在日期間は約4年2月です。違反期間の欄は空欄です。刑事処分は、覚せい剤取締法違反により懲役1年6月、執行猶予3年の判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。被退去強制歴の記載はありません。在留希望の理由は、同国人の恋人(在留資格「永住者」)との同居でした。事例集はこの有罪判決を不許可の事情に挙げています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は令和5年改正入管法の施行(令和6年6月10日)前・改定前の判断です。

  • 消極要素・第2の6:入管法24条4号チは、薬物関係法令違反により有罪となった者を退去強制事由とし、執行猶予でも除外しません。他方、4号リは無期又は1年を超える拘禁刑を対象としつつ全部執行猶予を除外します。本事例で問題となるのは前者です。
  • 積極要素・第2の2(2):特に考慮されるのは別表第二の在留資格者との家族関係で、法的な婚姻や実子関係を前提とします。相手が「永住者」でも、恋人という関係ではこの要素に乗りません。
  • 積極要素・その他:在日約4年2月で、生活の基盤の記載もありません。第2の9にも当たりません。
  • 現行法では、4号チ該当者は50条1項ただし書により、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠ける特別の事情がある場合に限り許可されます。

結論を分けた一線はどこか

第3では、積極要素が消極要素を明らかに上回る必要があります。本事例は薬物事犯の有罪判決に対し、積極側に置けるものがほとんどありませんでした。同じ平成29年D類型の許可第1事例は、端緒が職員探知で出頭申告でもありませんが、日本国籍の実子を監護養育しているという中核の積極要素があり、定住者(1年)が認められています。家族関係が法的にどう位置づけられるかが分かれ目と読めます。

弁護士のコメント

2点を述べます。

第1に、目標の置き方です。4号チは執行猶予でも退去強制事由となりますので、執行猶予の獲得を最終目標にすると在留の問題は残ります。起訴前の段階で不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ余地があります。もっとも見通しは証拠関係によります。

第2に、薬物の認識です。所持や使用の対象が違法薬物であるという認識は刑事事件の中心的な争点であり、ここを争うことが後の入管手続の基礎にもなります。退去強制事由の判断に故意・過失を要件としない運用の当否は、松村大介弁護士が現に訴訟で争っている論点です。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集が載せるのは各年20件前後です。薬物事犯で不許可が並ぶことは、許可の余地が一切ないことを示すものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者については、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。裁判員裁判の対象事件や報道された重大事件にも多数対応しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

薬物事件では、判決の内容だけでなく在留への影響を最初から見据える必要がございます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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