平成29年・家族4人で出頭申告して全員が定住者(1年)|本邦生まれで在留資格のない子10歳と5歳、在日約16年6月の事例(C類型許可第1事例)
2026/08/06
事例の概要
日本で生まれた子が在留資格を持たないまま育ち、家族そろって出頭した例です。平成29年分事例集(出入国在留管理庁が公表。許可19件・不許可19件)のC類型(外国人家族の場合)許可第1事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は家族全員での出頭申告です。本人は在日約16年6月・違反約16年3月、配偶者も不法残留で在日約17年2月・違反約16年11月でした。子2人はいずれも本邦で出生した後に在留資格を取得しておらず、判定の時点で10歳と5歳でした。許可内容は家族4人とも定住者(1年)です。刑事処分の欄はなく、被退去強制歴の記載もありません。子の就学状況は事例集の記載からは判明しません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は令和5年改正入管法の施行(令和6年6月10日)前・改定前の判断です。
- 積極要素・第2の2(3):本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、本国での就学が困難で、地域社会に溶け込んでいる子とその監護養育者が対象です。子2人が本邦で出生したことは記載がありますが、在学の記載はなく、当てはめを断定できません。
- 積極要素:本邦で家族とともに生活するという子の利益の保護の必要性。明示は令和6年3月改定(参議院附帯決議14項)によります。
- 積極要素・第2の9:家族全員が自ら出頭して申告したこと。
- 消極要素・第2の5:約16年3月の不法在留。長期化が明示的な消極要素とされたのも令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:本人と配偶者の不法残留。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。天秤を傾けたのは、子2人が出生から一貫して本邦で生活を積み上げてきたことと、家族4人がそろって自ら出頭したことであると読めます。同じ平成29年C類型の不許可第1事例は、当局の摘発で発覚し、子は0歳で、夫婦ともに技能実習先から逃亡していました。子が本邦で過ごした年月と端緒の違いが分かれ目と考えられます。
弁護士のコメント
初動と立証の2点を述べます。
第1に、出頭申告の組み立てです。第2の9の積極要素となる一方で、出頭はそれ自体が退去強制手続の開始でもあります。家族の誰について何を求めるのかを整えてから臨むのが望ましいところです。
第2に、在留資格のないまま本邦で出生した子についての立証です。出生に関する資料、居住の継続、通学や地域との関わりを示す資料が中心です。ガイドライン注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しませんので、違反審査までに提出しておくのが安全です。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
平成29年分の事例集に載るのは許可19件・不許可19件にとどまります。似た事情の許可例が見当たらないとしても、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。
観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦不受理とされた婚姻と認知を憲法的観点から当局と交渉して成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
子と共に不法滞在の状態にあるご家族では、子が本邦で送ってきた生活をどの段階でどう示すかが結論を左右いたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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