舟渡国際法律事務所

平成29年・自己名義の在留カードを他人に提供し窃盗も、懲役1年・執行猶予3年で不許可|婚姻約3年7月でも許可されなかった事例(B類型不許可第1事例)

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平成29年・自己名義の在留カードを他人に提供し窃盗も、懲役1年・執行猶予3年で不許可|婚姻約3年7月でも許可されなかった事例(B類型不許可第1事例)

平成29年・自己名義の在留カードを他人に提供し窃盗も、懲役1年・執行猶予3年で不許可|婚姻約3年7月でも許可されなかった事例(B類型不許可第1事例)

2026/08/06

事例の概要

自分のカードを人に渡しただけ、という感覚が重い結果を招きます。平成29年分事例集のB類型(配偶者が正規在留外国人)不許可第1事例です。

違反態様は在留カード提供、端緒は警察逮捕で、事例集は行使の目的で自己名義の在留カードを他人に提供したものと記載します。在日期間は約8年6月、婚姻期間は約3年7月で、夫婦間に子はなく、違反期間の欄は原典で斜線です。刑事処分は、窃盗及び入管法違反により懲役1年、執行猶予3年の判決です(懲役は原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。配偶者の在留資格は記載がなく、被退去強制歴も判明しません。本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドラインの適用前の判断です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の3(ウ)の趣旨(消極・中核):在留カード等の公的書類の偽変造、不正な受交付、行使、所持を消極要素とする定めです。行使の目的で自己名義のカードを他人に渡す行為も、在留管理の基礎を損なうものとして(ウ)に準じ評価されたと読めます。
  • 第2の3(イ)の趣旨(消極):他人が本人以外の身分で用いる前提での提供は、他の外国人の在留資格の偽装に関わる行為にも触れます。
  • 第2の6(消極):窃盗という財産犯を含む刑事処分の存在。
  • 第2の9(働かない):端緒は警察逮捕です。
  • 第2の2(2)(判断できない):配偶者の在留資格の記載がなく、別表第二の在留資格者との家族関係に当たるかを確認できません。子もいません。

結論を分けた一線はどこか

同年のB類型許可第3事例は、婚姻約1年4月で子もいませんでしたが、違反は不法残留のみ、端緒は出頭申告、配偶者は「永住者」で、許可されています。本件は婚姻期間がその2倍以上でありながら不許可でした。

分けたのは素行です。公的書類の管理に関わる違反と財産犯が重なり、端緒も警察逮捕で、ガイドライン第3が求める「積極要素が消極要素を明らかに上回る」状態から遠い形です。婚姻期間の長さは、この構図を覆すには足りなかったと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、執行猶予でも在留は守れません。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、全部執行猶予は除かれ、本件の刑はこの号に当たりません。それでも手続が進んだのは、在留カードに関する行為が別に退去強制事由とされているためと考えられます(具体的にどの号かは条文に当たって確認する必要があります)。目標は執行猶予ではなく起訴前の不起訴処分に置くべきものでした。

第2に、認識の問題です。カードを渡した経緯では、貸すつもりだった、使い道を知らなかったといった主張が出やすいところです。相手方の用途の認識は、刑事責任の成否だけでなく、入管手続での素行の評価にも影響します。入管実務は退去強制事由の判断に故意・過失を要しない運用を続けており、松村大介弁護士はこの当否を問う訴訟を係争中です。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

不許可事例が並ぶ類型でも、それが結論ではありません。掲載は各年20件前後にとどまり、その年の判断を網羅していないからです。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。

特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案では、徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議により、全件について不起訴処分を獲得しております。

不法就労助長罪に問われた女性の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めており、この事件では在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

在留カードに関わる行為は、軽く考えられがちである一方で、在留への影響が大きい類型です。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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