舟渡国際法律事務所

平成29年・婚姻約9月・不法残留約3年7月でも在留特別許可|配偶者と子が「定住者」の事例(B類型許可第4事例)

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平成29年・婚姻約9月・不法残留約3年7月でも在留特別許可|配偶者と子が「定住者」の事例(B類型許可第4事例)

平成29年・婚姻約9月・不法残留約3年7月でも在留特別許可|配偶者と子が「定住者」の事例(B類型許可第4事例)

2026/08/06

事例の概要

婚姻からまだ1年経っていない段階でも、許可に至ることがあります。平成29年分事例集のB類型(配偶者が正規に在留する外国人の場合)許可第4事例です。

違反態様は不法残留、端緒は出頭申告です。在日期間は約8年7月、うち違反期間は約3年7月で、来日後しばらくは在留資格を持っていたことになります。婚姻期間は約9月で、この年のB類型許可事例で最も短いものです。配偶者は在留資格「定住者」で、夫婦間の未成年の子も「定住者」を有しています。刑事処分はなく、被退去強制歴は記載からは判明しません。許可内容は「定住者(1年)」でした。本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドライン(令和6年3月改定)の適用前の判断です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(2)(積極・中核):別表第二の在留資格者との家族関係で、(1)に準じるもの。配偶者と子の「定住者」は、いずれも別表第二の在留資格です。
  • 準用される(1)(ウ)の「夫婦間に子があるなど」(積極):婚姻期間が約9月と短い一方で、夫婦間に子がいます。期間の短さを子の存在が補う構造です。
  • 子の利益(積極):子は既に在留資格を有して本邦で生活しており、家族とともに本邦で暮らすという利益の保護の必要性が具体的です。この明示は令和6年3月改定によるものです。
  • 第2の9(積極):自ら出頭して申告したこと。
  • 第2の5・第2の6(消極):約3年7月の不法残留。

結論を分けた一線はどこか

同年のB類型不許可第1事例は、婚姻期間が約3年7月と本件より長いのですが、行使の目的で自己名義の在留カードを他人に提供し、窃盗と入管法違反により懲役1年・執行猶予3年の判決を受けて不許可となりました(懲役は原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。端緒も警察逮捕です。

本件と比べると、分かれたのは素行と端緒です。本件は違反が不法残留のみで刑事処分もなく、自ら出頭し、家族が別表第二の在留資格を有していました。ガイドライン第3の天秤で積極要素が明らかに上回ったと読めます。婚姻約9月という短さは、子の存在によって補われたと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、婚姻期間が短い事案の考え方です。ガイドライン第2の2(2)は(1)に準じるものを積極要素としますから、(1)(ウ)の要素がそのまま問題になります。同条は「相当期間共同生活をして相互に扶助し、夫婦間に子があるなど」と定めており、期間と子の有無を含む複数の事情の総合です。期間が短い場合には、子の事情や生活の一体性を厚く示すことで補う方向を検討します。

第2に、早い段階で整えるべき資料です。配偶者と子の在留カード、住民票、家計が一体であることを示す資料、子の養育の状況を示す資料は、違反審査の段階までに出しておきたいものです。ガイドライン注4により、退去強制令書の発付後の事情変更は原則として考慮されません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

統計としての網羅性は事例集にありません。掲載は各年20件前後で、その年の許可事案の全部ではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

不法就労助長罪に問われて強制退去の危機に直面した女性の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めております。この事件では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得しております。

観光目的で来日された方が在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案では、当局との交渉により婚姻と認知を成立させ、過去の許可事例を分析した上で1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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