舟渡国際法律事務所

平成29年・送還後に偽名で不法入国し送還歴を秘匿して出頭、不許可|在日約19年5月・日本人配偶者と婚姻約1年の事例(A類型不許可第5事例)

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平成29年・送還後に偽名で不法入国し送還歴を秘匿して出頭、不許可|在日約19年5月・日本人配偶者と婚姻約1年の事例(A類型不許可第5事例)

平成29年・送還後に偽名で不法入国し送還歴を秘匿して出頭、不許可|在日約19年5月・日本人配偶者と婚姻約1年の事例(A類型不許可第5事例)

2026/08/06

事例の概要

自ら出頭したことが積極要素になるのは、申告の内容が正確である場合です。平成29年分事例集のA類型(配偶者が日本人の場合)不許可第5事例は、その裏返しを示しています。

違反態様は不法入国、端緒は出頭申告です。在日期間は約19年5月で、違反期間も同じです。日本人配偶者との婚姻期間は約1年で、夫婦間に子はありません。刑事処分はなく、被退去強制歴は1回です。事例集は不許可の事情として、送還された後に偽名で本邦に不法入国し、過去の送還歴を秘匿したまま当局に出頭したこと、被退去強制歴1回を挙げています。

本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドライン(令和6年3月改定)の適用前の判断です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の9(形式的には備わるが実質を失った):自ら出頭したこと自体は積極要素です。しかし送還歴を秘匿したままの出頭では、当局に事実を明らかにしたという評価が成り立ちません。
  • 第2の6(消極):退去強制理由となった事実。送還後の再度の不法入国であり、しかも偽名を用いています。
  • 反復性(消極):被退去強制歴1回。
  • 第2の5(消極):約19年5月の不法在留。
  • 第2の2(1)(ウ)(薄い):婚姻約1年で夫婦間に子もなく、相当期間の共同生活と評価するには足りません。

結論を分けた一線はどこか

同年の許可第2事例と並べると意味がはっきりします。そちらも不法入国、端緒は出頭申告、在日期間は約19年で違反期間も約19年、婚姻期間は約1年7月、夫婦間に子はなし。期間の構成はほとんど同じで、結果は「日本人の配偶者等(1年)」の許可でした。

違いは、送還後に偽名で入国したという経緯と、その事実を秘匿して出頭したという点にあります。つまり天秤を傾けたのは滞在の長短でも婚姻期間でもなく、当局に対する申告の誠実さと入国の経緯であったと読めます。ガイドライン第3の「明らかに上回る」判断において、虚偽が絡む事情は積極要素を相殺する方向に強く働くと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、出頭申告の準備です。出頭は、それまでの経緯をすべて明らかにする手続でもあります。過去の送還歴や氏名の相違は、当局の記録や指紋の照合で判明し得ます。秘匿したまま出頭すれば、判明した時点で信用が失われ、本来得られたはずの積極要素まで失います。出頭の前に経緯を整理し、不利な事実の説明の道筋も立てておくことが要です。

第2に、争う段階です。退去強制手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、法務大臣への異議申出と進みます。虚偽が問題となる事案では、最初の違反調査での供述が全体の評価を決めがちです。ガイドライン注4は退去強制令書発付後の事情変更を原則として考慮しないとしており、後から言い直す機会は限られます。加えて偽名を用いた入国は刑事責任の問題も生じ得ますので、両手続を見据えた方針が必要です。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

最後に、事例集の位置づけについて。掲載は各年20件前後の抜粋で、その年の許可事案を網羅していません。公表事例の傾向は出発点であって結論ではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。

観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない困難な状況下でも有利な証拠を集め、入管当局の過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

出頭の前に何をどう説明するかを整えておくことが、この類型では結果を大きく左右いたします。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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