平成29年・商標法違反で懲役1年6月・罰金150万円、被退去強制歴3回で不許可|日本人配偶者と婚姻約10年でも許可されなかった事例(A類型不許可第4事例)
2026/08/06
事例の概要
財産犯でなくても、刑罰法令違反は重い消極要素として働きます。平成29年分事例集のA類型(配偶者が日本人)不許可第4事例がその一例です。
違反態様は刑罰法令違反、端緒は警察逮捕です。在日期間は約11年11月、婚姻期間は約10年で、夫婦間に子はありません。違反期間の欄は原典で斜線です。刑事処分は、商標法違反により懲役1年6月、罰金150万円の判決です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。執行猶予の有無は判明しません。同法違反の前科1件と被退去強制歴3回があり、婚姻・同居の実態にも疑義がもたれています。本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドラインの適用前の判断です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
- 第2の6(消極・中核):退去強制理由の反社会性。商標法違反は窃盗や詐欺のような財産犯ではなく他人の商標権を侵害する類型ですが、罰金150万円の併科にも表れるとおり、営利性を伴う違反として重く評価されたと読めます。
- 反復性(消極):前科1件と被退去強制歴3回。違反と送還を繰り返した経緯そのものが独立して重く働きます。
- 第2の3(該当の記載なし):集団密航、不法就労助長、書類の偽変造、売春関係に当たる記載はありません。
- 第2の9(働かない):端緒は警察逮捕です。
- 第2の2(1)(ウ)(当たらないと判断された):婚姻約10年という長さがありながら、実態に疑義がもたれ、子もいません。
結論を分けた一線はどこか
婚姻期間の長さは決定要因ではありません。同年の許可第2事例は、婚姻約1年7月で子もなく不法入国が約19年続いていましたが、出頭申告で刑事処分も被退去強制歴の記載もなく、許可されています。婚姻約10年の本件が不許可となったのは、刑事処分と前科、被退去強制歴3回という反復性が積み上がり、婚姻の実態への疑義によって積極要素の側も薄くなったためだと考えられます。天秤に乗ったのは期間ではなく素行と反復性だったと読めます。
弁護士のコメント
第1に、量刑と退去強制事由の関係です。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とし、全部執行猶予を除きます。本件の1年6月の刑は、実刑ならこの号に当たり、猶予なら外れます。薬物関係法令違反なら執行猶予でも該当する4号チは、商標法違反には働きません。もっとも被退去強制歴3回もあり、刑の内容だけで結論は決まりません。それでも刑事段階で不起訴を獲得できていれば、この処分に基づく該当性を生じさせずに済んだ余地はありました。
第2に、認識の問題です。商標権侵害では、商品が侵害品であると知っていたか、知り得たかが争点です。これを刑事段階から争うことが、後の入管手続での主張の土台です。入管実務は退去強制事由の判断に故意・過失を要しない運用を続けており、松村大介弁護士はこの当否を問う訴訟を係争中です。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
刑事処分と被退去強制歴が重なる類型では、公表事例に許可例を見つけることは困難です。もっとも事例集は各年20件前後の抜粋で、掲載がないことは許可されていないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。
特殊詐欺の出し子とされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在等を総合的に主張し、不起訴処分を獲得しております。
不法就労助長罪に問われた女性の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めており、この事件では在留特別許可を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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