舟渡国際法律事務所

平成29年・売春防止法違反で懲役10月・執行猶予3年、売春の周旋で不許可|日本人配偶者と婚姻約6年でも許可されなかった事例(A類型不許可第2事例)

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平成29年・売春防止法違反で懲役10月・執行猶予3年、売春の周旋で不許可|日本人配偶者と婚姻約6年でも許可されなかった事例(A類型不許可第2事例)

平成29年・売春防止法違反で懲役10月・執行猶予3年、売春の周旋で不許可|日本人配偶者と婚姻約6年でも許可されなかった事例(A類型不許可第2事例)

2026/08/06

事例の概要

執行猶予が付いた判決でも、それだけで在留が確保されるものではありません。平成29年分事例集のA類型(配偶者が日本人の場合)不許可第2事例は、その構造がよく表れています。

違反態様は刑罰法令違反、端緒は警察逮捕です。在日期間は約8年10月、日本人配偶者との婚姻期間は約6年で、夫婦間に子はありません。違反期間の欄は原典で斜線です。刑事処分は、売春防止法違反により懲役10月、執行猶予3年の判決です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。被退去強制歴は判明しません。事例集は不許可の事情としてこの刑事処分と売春の周旋を挙げ、婚姻・同居の実態にも疑義がもたれたとしています。

本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドライン(令和6年3月改定)の適用前の判断です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の3(エ)(消極・中核):他人に売春を行わせる等、社会秩序を著しく乱す行為。周旋はここに正面から当たります。
  • 第2の6(消極):退去強制理由となった事実の反社会性。
  • 第2の9(働かない):端緒が警察逮捕であるため、出頭申告の積極要素は立ちません。
  • 第2の2(1)(ウ)(当たらないと判断された):婚姻期間は約6年で相当期間に及びますが、この要素は偽装婚を除外し共同生活の実体を求めます。実態に疑義がもたれた本件は入口で外れ、夫婦間に子もいません。

結論を分けた一線はどこか

婚姻期間だけを見れば、同年の許可第4事例(婚姻約6年11月)と大きく変わりません。しかしそちらは違反が更新申請の失念による約7月の不法残留で、刑事処分もなく出頭申告であり、「日本人の配偶者等(3年)」が許可されています。

ガイドライン第3は積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討します。本件では重い消極要素が素行の面に置かれ、積極要素の側は婚姻の実態への疑義で削られています。天秤を傾けたのは期間ではなく素行だと読めます。

弁護士のコメント

第1に、執行猶予と退去強制の関係です。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、全部執行猶予の場合は除かれます。本件の刑はこの号に当たりません。それでも退去強制手続が進んだのは、売春に関係する行為について、刑に処せられたことを要件とせずに退去強制事由とする規定があるためと考えられます(具体的にどの号に当たるかは、事案ごとに条文に当たって確認する必要があります)。執行猶予の獲得を最終目標に据える方針では、在留は守れません。

第2に、起訴前の段階です。周旋の類型では、誰の指示で何をしたのか、金銭の流れの認識があったのかが分かれ目です。ここを起訴前に詰めて不起訴処分を獲得できていれば、本件刑事処分に基づく該当性そのものを生じさせずに済んだ余地があったと考えられます。方針の順序としては不起訴の獲得が先に来ます。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

素行に関する消極要素がある類型では、公表事例に不許可が並びます。もっとも事例集は各年20件前後の抜粋であり、その年の判断の全部ではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された事案では、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。裁判員裁判対象事件や報道された重大事件にも対応してまいりました。

不法就労助長罪に問われた女性の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めており、この事件では在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

刑事処分の内容が在留の帰趨を左右する類型では、起訴前の段階での方針決定が結果を大きく分けます。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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