舟渡国際法律事務所

平成29年・不法入国から約19年でも在留特別許可|夫婦間の子がなく婚姻約1年7月・出頭申告の事例(A類型許可第2事例)

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平成29年・不法入国から約19年でも在留特別許可|夫婦間の子がなく婚姻約1年7月・出頭申告の事例(A類型許可第2事例)

平成29年・不法入国から約19年でも在留特別許可|夫婦間の子がなく婚姻約1年7月・出頭申告の事例(A類型許可第2事例)

2026/08/06

事例の概要

不法滞在が20年近くに及び、夫婦間に子もいない。それでも許可された事例があります。平成29年分の事例集(法務省入国管理局が平成30年3月公表)のA類型(配偶者が日本人の場合)許可第2事例です。

違反態様は不法入国で、在日期間は約19年、違反期間も約19年、つまり在日期間の全部が不法な在留でした。端緒は出頭申告です。日本人配偶者との婚姻期間は約1年7月で、夫婦間に子はありません。刑事処分はなく、被退去強制歴は記載からは判明しません。結果は「日本人の配偶者等(1年)」の許可でした。

この判断は令和5年改正入管法の施行前、かつ現行ガイドライン(令和6年3月改定)の改定前のものです。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(1)(ウ)(積極):日本人との法的な婚姻と、相当期間の共同生活、相互の扶助。「夫婦間に子があるなど」は安定性・成熟性の例示であり、子がいないことが直ちにこの要素を失わせるものではありません。
  • 第2の9(積極):自ら出頭して不法滞在の事実を申告したこと。
  • 第2の5(消極):約19年という不法在留期間。本件で最も重い消極要素です。
  • 第2の6(消極):退去強制理由となった事実の反社会性。不法入国は不法残留より重く評価されやすい態様です。

素行不良(第2の3)に当たる記載はありません。長期の在留の中で地域社会との関係を築いていた可能性はありますが、事例集の記載からは判明しません。

結論を分けた一線はどこか

同じ平成29年A類型の不許可第5事例が、ほとんど鏡のような比較対象になります。そちらも不法入国、端緒は出頭申告、在日期間は約19年5月で違反期間も同じ約19年5月、婚姻期間は約1年です。

それでも結論は分かれました。不許可第5事例には、送還された後に偽名で不法入国し、過去の送還歴を秘匿したまま当局に出頭したこと、被退去強制歴1回があると記載されています。この対照から読み取れるのは、天秤を傾けたのが滞在期間の長さではなく、入国の経緯と、当局に対して事実をそのまま述べたかどうかであろうということです。

弁護士のコメント

第1に、出頭申告の中身です。出頭した事実そのものではなく、身分事項と入国の経緯を正確に申告したことが評価されると考えられます。不法入国事案では旅券や氏名の真実性が争点になりやすく、ここで一部でも取り繕えば、積極要素だったはずの出頭が虚偽申告という消極要素に転じかねません。

第2に、令和6年3月改定後は評価が変わりうる点です。不法在留期間の長期化が明示的に消極要素と位置づけられたのはこの改定によるものですから、約19年という期間の重みは、現在の判断では本件当時より増している可能性があります。他方で、その間に築いた地域社会との関係や納税の状況は、なお積極方向で考慮される余地があります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

公表事例は行政自身が許可相当と判断した先例として重要ですが、掲載は各年20件前後の抜粋にとどまり、その年の許可事案の全部ではありません。自分と同じ組合せが見つからないとしても、可能性がないことの証明にはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、なお違反認定処分の取消しを争っています。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦不受理とされた婚姻と認知を憲法的観点から当局と交渉して成立させ、過去の許可事例を分析した上で1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

国際的な刑事事件、裁判員裁判対象事件、広く報道された事件にも対応してまいりました。中国籍の方の重大事件の経験も重ねております。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となるため、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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