舟渡国際法律事務所

平成30年・在日約60年、病気療養中で永住者の配偶者等(1年)|不法入国から60年の不法在留でも在留特別許可(D類型許可第7事例)

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平成30年・在日約60年、病気療養中で永住者の配偶者等(1年)|不法入国から60年の不法在留でも在留特別許可(D類型許可第7事例)

平成30年・在日約60年、病気療養中で永住者の配偶者等(1年)|不法入国から60年の不法在留でも在留特別許可(D類型許可第7事例)

2026/08/06

事例の概要

公表事例の中でも際立って長期の在留が問題となった例です。平成30年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のD類型(その他)許可第7事例で、結論は許可です。違反態様は不法入国、端緒は出頭申告で、在日期間と違反期間はいずれも約60年です。在留希望の理由は、本邦で病気治療を受けたいこと、および本邦に生活基盤があることです。特記事項には、病気療養中であることが記されています。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。許可内容は永住者の配偶者等(1年)です。症状の詳細には立ち入りません。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前・改定前ガイドラインの下での判断です。

  • 積極要素・第2の7(1):難病等により本邦での治療を必要とすることが人道上の配慮として挙げられており、療養中であることはこの枠で考慮され得ます。
  • 積極要素・第2の2(2):別表第二の在留資格を有する者との家族関係が挙げられています。許可内容が永住者の配偶者等である点からは、永住者との婚姻関係が前提とされたことがうかがえますが、婚姻期間等の記載はありません。
  • 積極要素・第2の9:自ら出頭して申告したこと。
  • 積極要素・その他:約60年にわたる本邦での生活。生活の基盤が本邦以外に存在しない状態と読めます。
  • 消極要素・第2の5と第2の6:不法在留約60年と不法入国。長期化が明示的な消極要素とされたのは令和6年改定であり、どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。

結論を分けた一線はどこか

60年という前例的に長い不法在留がありながら許可されています。決定的だったのは、生活の基盤が本邦以外に存在しないこと、療養の必要、永住者である配偶者との家族関係が重なり、そこに自ら出頭したことが加わった点であると読めます。同年D類型の不許可第6事例は、在日約14年8月で、自己の経営する会社において不法残留者を解体作業員として稼働させた事案でした。年月の長さではなく、その年月に何が含まれているかが分かれ目です。

弁護士のコメント

刑事処分のない事例です。2点を述べます。

第1に、長期の在留を立証する作業です。60年に及ぶ場合、当初の入国の経緯を示す資料はほとんど残っていないのが通常です。居住、就労、医療、地域との関わりを、公的な記録と周囲の方の陳述で丹念に積み上げるほかありません。注4は退去強制令書の発付後の事情変更を原則として考慮しませんので、早い段階での提出が要点となります。

第2に、与えられた地位の意味です。永住者の配偶者等は家族関係を基礎とする地位です。同年の許可第3事例が療養の必要に対応する特定活動(1年)であったことと対照的で、何を積極要素の中心に据えるかによって求める地位も変わってまいります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集に載るのは各年20件前後にとどまります。これほど長期の事例が並んでいないとしても、期間の長短が結論を決めるわけではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

在留資格を失って不法滞在となり逮捕・起訴された相談者の事案では、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況の中で有利な資料を集め、当局と交渉して婚姻と認知を成立させたうえ、過去の許可事例を分析し、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

長い年月そのものではなく、その年月に何が積み上がっているかを資料で示せるかが要点でございます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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