平成30年・12歳と10歳の子を含む母子3人で出頭申告し全員に定住者(6月)|不法入国から約13年4月でも在留特別許可(C類型許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
許可されても在留期間が6月にとどまる場合があります。平成30年分事例集(出入国在留管理庁が公表)のC類型(外国人家族の場合)許可第2事例で、結論は許可です。本人である母の違反態様は不法入国、端緒は母子での出頭申告で、在日期間と違反期間はいずれも約13年4月です。子は2人おり、いずれも本邦で出生した後に在留資格を取得しておらず、12歳と10歳とされています。許可内容は母子3人とも定住者で、在留期間は6月です。刑事処分と被退去強制歴の記載はありません。子の就学状況は事例集の記載からは判明しません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前・改定前ガイドラインの下での判断です。
- 積極要素・第2の2(3):本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、本国での就学が困難で、地域社会に溶け込んでいる子とその監護養育者が対象です。子2人は12歳と10歳で、本邦で生まれてから10年以上をここで過ごしています。就学の記載はありません。
- 積極要素:家族とともに生活する子の利益の保護の必要性(令和6年3月改定で明示。参議院附帯決議14項)。
- 積極要素・第2の9:母子3人がそろって自ら出頭したこと。
- 消極要素・第2の5:不法在留約13年4月。長期化が明示的な消極要素とされたのは令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法入国。入国の時点から在留資格を欠く状態が続いた点で不法残留とは経緯が異なり、どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。
- 第2の3の素行不良に当たる事情の記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
第3の判断手法では、積極要素が消極要素を明らかに上回ることを要します。天秤を傾けたのは、2人の子が本邦で生まれてからの生活を10年以上積み上げたことと、母子3人そろっての出頭申告であると読めます。同年C類型の不許可第1事例は、同じく出頭申告でしたが、子は2歳、違反期間は約8月で、在留資格変更が認められなかった後に出国準備期間内に出国しなかった経緯がありました。年月の長さが分かれ目です。在留期間が6月にとどまる理由の記載はありません。
弁護士のコメント
刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。
第1に、出頭申告の設計です。第2の9の積極要素となる一方で、出頭は退去強制手続の開始でもあります。家族の誰にどの在留資格を求めるのかをあらかじめ整理し、子の生活の実体を示す資料をそろえてから臨むのが望ましいところです。
第2に、在留期間が6月であることの実務上の意味です。許可を得た後も更新の場面が早く訪れます。就学の継続、住居の安定、生計の状況を示す資料を継続的に整えておくことが、その後の在留の安定につながります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋にとどまります。自分と同じ事情の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。現に当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分そのものの取消しを争っております。公表事例の傾向は出発点であって結論ではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
特殊詐欺の出し子とされた20代の女性については、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を総合的に主張し、不起訴処分を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
子と共に不法滞在の状態にあるご家族では、子が本邦で送ってきた年月をどのように記録として示すかが結論を左右いたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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