舟渡国際法律事務所

平成30年・出頭申告でも婚姻・同居の実態に疑義で不許可|日本人配偶者との婚姻約1年5月・不法残留約1年8月の事例(A類型不許可第1事例)

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平成30年・出頭申告でも婚姻・同居の実態に疑義で不許可|日本人配偶者との婚姻約1年5月・不法残留約1年8月の事例(A類型不許可第1事例)

平成30年・出頭申告でも婚姻・同居の実態に疑義で不許可|日本人配偶者との婚姻約1年5月・不法残留約1年8月の事例(A類型不許可第1事例)

2026/08/06

事例の概要

自ら出頭して申告したのに不許可となった事例です。平成30年分事例集A類型(配偶者が日本人)不許可第1事例です。

違反態様は不法残留、端緒は出頭申告です。在日期間は約4年9月、違反期間は約1年8月で、来日から3年ほどは在留資格がありました。日本人配偶者との婚姻期間は約1年5月で、夫婦間に子はありません。刑事処分はなく、被退去強制歴は判明しません。不許可の事情として記載されているのは、婚姻・同居の実態に疑義がもたれたこと、この1点です。本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドライン(令和6年3月改定)の適用前の判断です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(1)(ウ)(当たらないと判断された):この要素は「相当期間共同生活をして相互に扶助し」「婚姻が安定かつ成熟している」ことを求めます。実態に疑義がもたれた以上、婚姻届が出ていることだけでは足りません。
  • 第2の9(積極・足りず):自ら出頭したことは積極要素です。もっとも注4は、特に考慮する積極要素があれば必ず許可されるものではないとしています。
  • 第2の5(消極):約1年8月の不法在留。同年のA類型では短い部類です。
  • 第2の6(消極):不法残留という該当事実。

第2の3の素行不良や刑罰法令違反に当たる記載はなく、消極要素としてはむしろ軽い事案です。

結論を分けた一線はどこか

同年のA類型許可第4事例と並べます。そちらは在日約3年3月・違反約2年3月・婚姻約1年8月で、端緒も同じ出頭申告、子もなく刑事処分もありません。違反期間は本件より長いのに許可されています。

本件は、消極要素が重かったから不許可になったのではなく、積極要素の側が立たなかったために天秤が傾かなかったと読めます。第3は積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとしており、婚姻の実態が認められなければ、上回るべき積極要素が乗らない構造です。

弁護士のコメント

第1に、疑義が生じる場面を先に想定しておくことです。夫婦は別々に事情を聴かれます。出会いの経緯、同居の開始時期、生活費の分担といった点で説明が食い違うと、それ自体が疑義の根拠として記録されます。通訳を介した聴取では言い回しの機微が調書に残りにくく、後から訂正するのは容易ではありません。

第2に、争う段階です。手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、異議申出と進みます。違反審査で疑義を解く資料を出さず、認定に不服を留保しないまま進むと、その評価が後の段階に引き継がれます。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しないとしており、住民票、賃貸借契約書、家計の一体性を示す資料は早い段階でこそ意味をもちます。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

婚姻の実態に疑義がもたれた事例は不許可側に並びますが、これは疑義を解く立証が届かなかった記録でもあります。事例集は年20件前後の抜粋にすぎません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦は不受理とされた婚姻と認知を憲法的な観点から当局と交渉して成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

不法就労助長罪に問われた女性の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めており、この事件でも在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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