舟渡国際法律事務所

平成30年・不法入国から約10年8月でも在留特別許可|日本人配偶者との婚姻約3年・子なし・出頭申告の事例(A類型許可第1事例)

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平成30年・不法入国から約10年8月でも在留特別許可|日本人配偶者との婚姻約3年・子なし・出頭申告の事例(A類型許可第1事例)

平成30年・不法入国から約10年8月でも在留特別許可|日本人配偶者との婚姻約3年・子なし・出頭申告の事例(A類型許可第1事例)

2026/08/06

事例の概要

在留資格を一度も持たないまま10年以上が過ぎた場合でも、許可の可能性は残ります。平成30年分事例集のA類型(配偶者が日本人)許可第1事例です。

違反態様は不法入国、端緒は出頭申告です。在日期間は約10年8月で、違反期間も同じですから、来日から一貫して在留資格のない状態でした。日本人配偶者との婚姻期間は約3年で、夫婦間に子はありません。刑事処分はなく、被退去強制歴は記載からは判明しません。許可内容は「日本人の配偶者等(1年)」です。本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドライン(令和6年3月改定)の適用前の判断です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(1)(ウ)(積極・中核):日本人と法的に婚姻し、相当期間共同生活をして相互に扶助し、婚姻が安定かつ成熟していること。約3年が「相当期間」を基礎づけたと読めます。同項は「夫婦間に子があるなど」と例示しますが、子の存在は要件ではありません。
  • 第2の9(積極):不法滞在を申告するため自ら地方出入国在留管理官署に出頭したこと。
  • 第2の5(消極):約10年8月の不法在留。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年3月改定で、従前は積極にも消極にもなり得るとされていました。
  • 第2の6(消極):不法入国という態様自体。

素行不良(第2の3)に当たる記載はありません。

結論を分けた一線はどこか

同年のA類型不許可第1事例と並べると、期間だけで結論が決まらないと分かります。そちらも端緒は出頭申告で、在日約4年9月・違反約1年8月と本件よりはるかに短く、婚姻も約1年5月ありましたが、婚姻・同居の実態に疑義がもたれて不許可でした。

本件で天秤を傾けたのは、約3年の婚姻に支えられた夫婦生活の実体と考えられます。10年8月という重い消極要素があっても、婚姻の安定性が認められれば許可の方向で検討され得ると読めます。

弁護士のコメント

第1に、出頭申告の意味です。摘発や警察逮捕で発覚すると、第2の9の積極要素を欠くうえ、身柄を拘束された状態で家族関係を立証することになり、資料集めに制約が出ます。違反期間が10年を超えていると出頭を躊躇されるのは自然ですが、期間の長さそれ自体が可能性を閉ざすわけではありません。

第2に、どの段階で何を出すかです。手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、異議申出と進み、在留特別許可は最後の段階の判断ですが、そこで初めて動いては遅い場面が多くあります。ガイドライン注4は退去強制令書発付後の事情変更を原則として考慮しないとしており、住民票や賃貸借契約書、家計の一体性を示す資料は違反審査の段階までに出しておきたいものです。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

平成30年分の事例集に載るのは許可19件・不許可19件で、その年の判断のごく一部です。同じ組合せが公表事例に見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

観光目的で来日された方が日本人女性との間にお子さんを授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、一旦は不受理とされた婚姻と認知を憲法的な観点から当局と交渉して成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人のために動く立場から通訳いたします。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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