舟渡国際法律事務所

令和元年・麻薬及び向精神薬取締法違反等で懲役11年の実刑、被退去強制歴1回で不許可|日本国籍の実子がいても許可されなかった事例(D類型不許可第2事例)

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令和元年・麻薬及び向精神薬取締法違反等で懲役11年の実刑、被退去強制歴1回で不許可|日本国籍の実子がいても許可されなかった事例(D類型不許可第2事例)

令和元年・麻薬及び向精神薬取締法違反等で懲役11年の実刑、被退去強制歴1回で不許可|日本国籍の実子がいても許可されなかった事例(D類型不許可第2事例)

2026/08/06

事例の概要

薬物事件で長期の実刑判決を受けた場合の帰結を示す事例です。令和元年分事例集(出入国在留管理庁公表)のD類型(その他)不許可第2事例です。違反態様は薬物法令違反および不法残留で、端緒は警察による逮捕。在日約19年6月・違反約11年8月です。刑事処分は、麻薬及び向精神薬取締法違反等により懲役11年の判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。在留希望の理由は、日本国籍を有する実子がいる日本で生活したいというもので、親権はありません。事例集は、被退去強制歴が1回あることを不許可に至った事情としています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。

  • 消極要素・第2の6:入管法24条4号チは薬物関係法令違反による有罪を退去強制事由とし、執行猶予でも該当します。本件は実刑ですから4号リにも当たります。
  • 消極要素:被退去強制歴1回。消極要素・第2の5:不法在留約11年8月。第2の9の出頭申告には当たりません(警察による逮捕)。
  • 積極要素・第2の2(1):日本国籍の実子はいますが親権がなく、相当期間の同居監護養育も認められていません。同項(イ)には直接当たりません。
  • 参考として、令和5年改正入管法50条1項ただし書は、無期又は1年を超える拘禁刑の実刑に処せられた者等について、人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限り許可するとしています。

結論を分けた一線はどこか

本件では消極要素が幾重にも重なり、積極要素が明らかに上回るという評価に至る余地はほとんどありませんでした。日本国籍の実子がいることは積極要素の入口ですが、親権がなく同居監護養育の実体も示されていない場合、その重みは限られます。同じ令和元年D類型の許可第2事例は、日本国籍の実子を現に監護養育し、刑事処分もなく自ら出頭しています。実子の存在を述べるだけでは足りず、現に監護している実体が必要であると読めます。

弁護士のコメント

2点を述べます。

第1に、薬物事件における弁護方針です。4号チは執行猶予でも退去強制事由となりますので、執行猶予の獲得を最終目標に据える方針では在留の確保に届きません。起訴前の段階で不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性があったと考えられます。長期の実刑事案では、現行法の下ではさらに50条1項ただし書の枠組みが加わります。

第2に、薬物の認識です。運搬や所持を担わされた立場では、対象物が規制薬物であるとの認識を欠く場合があります。刑事事件では故意が正面の争点となりますが、入管実務では退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用が続いており、松村大介弁護士はこの当否を問う訴訟を係争中です。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋で、実際の許可件数のごく一部です。もっとも、薬物関係法令違反は入管法の構造上とりわけ重い消極要素となります。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人事件の刑事弁護と入管手続を主に扱っております。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者につき、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。裁判員裁判の対象事件や報道された重大事件にも多数対応してまいりました。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、当局から一旦受理されなかった婚姻と認知を憲法的観点からの交渉によって成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

執行猶予判決を得ても多くの罪名では結果として退去強制に至りますので、当事務所は起訴前段階での不起訴処分の獲得を最優先に据えております。接見の初動から公判の結審までの全工程を松村弁護士が直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人の側で動きます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更についても、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

薬物事件では、起訴前の段階での方針が在留の可否をそのまま決めてまいります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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