令和元年・事業活動で複数の外国人を不法就労させ罰金60万円の略式命令、被退去強制歴2回で不許可|在日約27年10月・日本国籍の成人の実子がいても許可されなかった事例(D類型不許可第1事例)
2026/08/06
事例の概要
在日27年を超え、日本国籍の実子もいる方が不許可となった事例です。令和元年分事例集(出入国在留管理庁公表)のD類型(その他)不許可第1事例です。違反態様は不法就労助長で、端緒は入管職員の探知。在日約27年10月で、違反期間の欄には原典で斜線が引かれています。刑事処分は、入管法違反により罰金60万円の略式命令でした。在留希望の理由は、日本国籍を有する成人の実子がいる日本で生活したいというものです。事例集は、事業活動に関し複数の外国人に不法就労活動をさせたこと、被退去強制歴2回を不許可の事情としています。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。
- 消極要素・第2の3(イ):他の外国人の不法就労に関わる行為は、特に考慮する消極要素です。自らの事業活動で複数の外国人に不法就労活動をさせた行為は正面から当たります。
- 消極要素・第2の6:不法就労助長については入管法24条3号の4が退去強制事由を定めます。
- 消極要素:被退去強制歴2回。複数回の被退去強制歴は事例集全体で最も重い消極要素です。
- 積極要素・第2の2(1):同項は、未成年未婚又は障害により監護を要する日本人の実子を相当期間同居監護養育していること等を積極要素とします。本件の実子は成人であり直接は当たりません。
- 第2の9の出頭申告には当たりません(職員探知)。
結論を分けた一線はどこか
在日約27年10月という期間の長さは、それ自体では天秤を傾けません。本件で決定的だったのは、不法就労助長という行為の性質と被退去強制歴2回であると読めます。同じ令和元年D類型の許可第1事例も日本国籍の実子がいる事案ですが、その実子は監護養育を要する状態にあり、本人は自ら出頭し、刑事処分もありませんでした。実子の存在という同じ事情が、子の年齢と本人の素行によって正反対の重みを持ちます。
弁護士のコメント
2点を述べます。
第1に、刑事段階での不起訴の獲得です。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますので、罰金は同号には当たりません。それでも不法就労助長は行為それ自体が第2の3(イ)の消極要素として残ります。略式命令に応じる前に不起訴処分を獲得できていれば、有罪の事実を生じさせずに済んだ余地があったと考えられます。
第2に、故意・過失です。雇った相手の在留資格や就労の可否をどこまで確認していたかは、刑事事件では故意や過失として争われます。他方、入管実務では退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用が続いており、責任主義の射程をめぐるこの論点は松村大介弁護士が現に訴訟で争っております。確認の手順とその記録が、後の入管手続における主張の基礎になります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
不法就労助長を理由とする公表事例には不許可が並びます。もっとも事例集は各年20件前後の抜粋であり、この類型で許可が出ないことを示すものではありません。当事務所は、不法就労助長に問われた事案において在留特別許可を獲得しており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。結果をお約束するものではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に至った女性の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を正面から問う訴訟を係争中です。この事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得しており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。
特殊詐欺の出し子とされた20代の女性につき、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を総合的に主張し、不起訴処分を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標としております。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
外国人を雇う立場に立たれる場合、確認の手順と記録が、ご自身の在留を守る備えになります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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