令和元年・「日本人の配偶者等」の実子と身分を偽って約20年3月在留、職員探知で不許可|本邦出生の子7歳がいても許可されなかった事例(C類型不許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
在日期間の長さが積極要素として働かなかった事例です。令和元年分事例集(出入国在留管理庁公表)のC類型(外国人家族の場合)不許可第2事例です。違反態様は不法入国で、端緒は入管職員の探知。在日約20年3月・違反約20年3月であり、在日期間の全部が違反期間です。子は1人で、本邦出生後に在留資格を取得していない7歳でした。事例集は、本人に被退去強制歴が1回あること、本人が「日本人の配偶者等」の在留資格で在留する外国人の実子であると身分を偽って在留していたことを不許可に至った事情としています。刑事処分の記載はありません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。
- 消極要素・第2の6:不法入国が退去強制事由となりますが、具体的にどの号に当たるかは事案ごとに条文に当たって確認する必要があります。
- 消極要素・第2の3:他人の身分を用いて在留資格を得る行為は、在留資格の偽装に関わる行為として同項(イ)の趣旨に触れ、公的書類の不正な受交付という点では(ウ)の趣旨にも近づきます。
- 消極要素:被退去強制歴1回。消極要素・第2の5:不法在留約20年3月。長期化が明示的な消極要素とされたのは令和6年改定です。
- 第2の9の出頭申告には当たりません(職員探知)。
- 積極要素・第2の2(3):子は7歳ですが就学状況の記載はなく、相当期間の教育を受けたかは判断できません。
結論を分けた一線はどこか
本件では、在日約20年3月という期間そのものが、身分を偽り続けた期間でもありました。同じ令和元年C類型の許可第1事例は在日約22年7月と期間はさらに長いのですが、違反期間は約1年8月にとどまり、家族全員が自ら出頭しています。期間の長短ではなく、その期間が正規の在留として積み上げられたものか、偽った身分の上に積み上げられたものかが結論を分けたと読めます。
弁護士のコメント
刑事処分の記載がない事例ですが、退去強制事由の判断は刑事処分の有無とは別に進みます。2点を述べます。
第1に、違反審査の段階から何を争うかです。身分の偽りが問題となる事案では、不法入国という退去強制事由該当性そのものが争点になり得ます。入国の経緯、当時の年齢、誰の指示で何を提出したのかは、認定の前に記録に残すべき事柄です。認定や判定に不服を留保せずに従うと、争点が事実上封じられます。
第2に、認識の問題です。提出書類や身分の記載の虚偽をどこまで認識していたかは、刑事事件であれば故意として争われる部分です。入管実務では退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用が続いており、松村大介弁護士はこの当否を問う訴訟を係争中です。認識の有無を裏付ける資料の収集は、早い段階で行う意味があります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋にとどまります。公表事例に自分と同じ類型の許可例が見当たらないとしても、それは許可の可能性がないことを示すものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
不法就労助長罪に問われ強制退去の危機に至った女性の事案では、退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を正面から問う訴訟を係争中です。この事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得しており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。
国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件への対応実績も有し、中国籍の方の重大事件にも多数対応してまいりました。
執行猶予判決を得ても多くの罪名では結果として退去強制に至りますので、当事務所は起訴前段階での不起訴処分の獲得を最優先に据えております。接見の初動から公判の結審までの全工程を松村弁護士が直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人の側で動きます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更についても、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
身分に関する申告は、後の在留手続の全体を左右いたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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