令和元年・母子で出頭申告、日本人父に認知された子3人が「日本人の配偶者等」(1年)|母は定住者(1年)となった事例(C類型許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
日本人から認知されていても日本国籍を取得していない場合の事例です。令和元年分事例集(出入国在留管理庁公表)のC類型(外国人家族の場合)許可第2事例で、結論は許可です。端緒は出頭申告で、母子で出頭したものです。本人(母)は不法残留、在日約11年・違反約2年6月。子は3人で、8歳の子は本邦出生の不法残留(在日約8年5月・違反約2年11月)、4歳と2歳の子は本邦出生後に在留資格を取得していない状態です。子の父親は日本人で、子は認知されているものの、日本国籍取得の届出は行われていません。刑事処分の記載はありません。許可内容は、本人が定住者(1年)、子3人がいずれも「日本人の配偶者等」(1年)でした。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。
- 積極要素・第2の2(1):認知により法律上の父子関係が生じ、子3人は日本人の実子です。本人は未成年未婚の実子3人を同居監護養育しており、同項に当たります。
- 子3人に「日本人の配偶者等」(1年)が認められた点は、日本人の実子としての地位が評価されたことを示すと読めます。認知された子には国籍取得の届出という手続がありますが、本件では行われず、在留資格の問題が残りました。
- 積極要素・第2の9:自ら出頭したこと。加えて、家族とともに生活する子の利益の保護の必要性(明示は令和6年3月改定・参議院附帯決議14項)。
- 消極要素・第2の5:不法在留約2年6月。消極要素・第2の6:不法残留。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。
結論を分けた一線はどこか
本件で決定的だったのは、子3人が日本人の実子であり、監護養育者が本人であることだと読めます。同じ令和元年C類型の不許可第2事例も、子が本邦出生後に在留資格を取得していない点は似ています。しかしそちらは、本人が「日本人の配偶者等」で在留する外国人の実子と身分を偽っており、被退去強制歴1回もありました。日本人との親子関係が法律上裏付けられているか、そしてその裏付けが正しい申告によるものかが分かれ目と考えられます。
弁護士のコメント
刑事処分がない事例です。2点を述べます。
第1に、身分関係の裏付けを先に固めることです。認知の有無は在留特別許可の場面で決定的です。認知がない段階では、日本人の実子であることを前提とする積極要素を主張できません。婚姻や認知の手続が可能であれば、在留の手続より先に進めることが選択肢になります。
第2に、出頭前の準備です。母子で出頭する場合、認知に関する証明、父子の交流の実情、家計と子の生活の状況を示す資料をそろえてから出頭することが望ましいところです。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しないとしています(内容は事案によります)。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
公表事例は各年20件前後にとどまり、その年の許可の全体ではありません。自分と同じ事情の許可例が載っていないことは、可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
東京都豊島区の舟渡国際法律事務所では、松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が、外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野として対応しております。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、当局から一旦受理されなかった婚姻と認知を憲法的観点からの交渉によって成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。
執行猶予判決を得ても多くの罪名では結果として退去強制に至りますので、当事務所は起訴前段階での不起訴処分の獲得を最優先に据えております。接見の初動から公判の結審までの全工程を松村弁護士が直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐して、依頼者ご本人の側で動きます。刑事手続が終わった後の在留資格の更新・変更についても、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
日本人との親子関係がある場合、その関係を法律上どこまで確定させてあるかが、在留の可否を大きく左右いたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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