舟渡国際法律事務所

令和元年・不法入国から約12年3月でも在留特別許可|配偶者が永住者・子が永住者の配偶者等・出頭申告の事例(B類型許可第3事例)

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令和元年・不法入国から約12年3月でも在留特別許可|配偶者が永住者・子が永住者の配偶者等・出頭申告の事例(B類型許可第3事例)

令和元年・不法入国から約12年3月でも在留特別許可|配偶者が永住者・子が永住者の配偶者等・出頭申告の事例(B類型許可第3事例)

2026/08/06

事例の概要

在留資格を一度も得ないまま12年が過ぎた。それでも許可された事例です。出入国在留管理庁が公表した令和元年分事例集のB類型(配偶者が正規在留外国人)許可第3事例です。

違反態様は不法入国、端緒は出頭申告です。在日約12年3月で違反期間も同じく約12年3月。婚姻期間は約1年6月で、夫婦間に未成年の子が1人います。特記事項によれば配偶者の在留資格は「永住者」、子は「永住者の配偶者等」です。刑事処分はありません。許可内容は「永住者の配偶者等(1年)」でした。

本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドライン(令和6年3月改定)の適用前の判断です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(2)(積極):永住者との家族関係で第2の2(1)に準ずるもの。「永住者」は別表第二ですので本件はこの積極要素に直接乗ります。B類型では配偶者が別表第一の事例はここに直接当たらない構造で、この違いは大きいものです。
  • 子の利益(積極):本邦で家族とともに生活するという子の利益。子が「永住者の配偶者等」で正規に在留している点は、この評価を裏づけます。
  • 第2の9(積極):不法滞在の事実を申告するため自ら出頭したこと。
  • 第2の5(消極):約12年3月の不法在留期間。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定で、当時は積極にも消極にもなり得るとされていました。現行の枠組みでは評価が変わりうる部分です。
  • 第2の6(消極):不法入国という違反態様の反社会性。

結論を分けた一線はどこか

不法入国であり、12年を超えて在留資格のない状態が続きました。それでも許可されたのは、配偶者が永住者で子も正規在留という家族の足場に、出頭申告と刑事処分の不存在が重なったためと読めます。

同年B類型の不許可第1事例は、同じく不法入国で在日約7年11月、未成年の子1人がありましたが、職員探知で発覚し、他人の連れ子であると身分を偽って在留していたとされ不許可でした。違反期間は本件より短いのに、身分を偽った点が決定的に働いたと考えられます。

弁護士のコメント

第1に、不法入国の事案では、退去強制事由該当性そのものの検討が出発点です。入国の経緯、旅券や上陸許可の有無、本人の認識といった事実関係を、違反調査の段階で正確に固める必要があります。

第2に、長期の不法在留がある事案では、その期間の意味づけが分かれ目です。令和6年改定で長期化が明示的に消極要素とされたため、現在は同じ期間について、地域社会との関係構築や納税の状況など積極に評価され得る事情を併せて示す必要が高まっています。

第3に、資料を出す時期です。ガイドライン注4は退去強制令書発付後の事情変更を原則として考慮しないとしています。配偶者と子の在留資格を示す資料、同居と養育の実質を示す資料は、口頭審理までの段階で提出すべきものです。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋にすぎません。長期の不法在留や不法入国の事案に許可例が見当たらないとしても、抜粋の中での話です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。

不法就労助長罪に問われて強制退去の危機に直面した女性の事案では、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めております。この事件では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

在留資格のない期間が長い事案でも、家族の足場と出頭申告の組合せで道が開ける場合があります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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