令和元年・自己経営の飲食店で外国人を不法就労させ不許可|売春従事も併せて摘発・婚姻約3年3月・在日約16年の事例(A類型不許可第5事例)
2026/08/06
事例の概要
日本人配偶者との婚姻があり在日も16年でも、他の外国人の就労に関わる違反があると評価は大きく傾きます。出入国在留管理庁が公表した令和元年分事例集のA類型(配偶者が日本人)不許可第5事例です。
違反態様は不法就労助長及び売春従事、端緒は摘発です。在日期間は約16年、違反期間の欄は原典で斜線です。婚姻期間は約3年3月で子はありません。刑事処分は、入管法違反、売春防止法違反等により懲役1年、執行猶予3年の判決です(懲役は事例集の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。事例集は、自己が経営する飲食店で外国人に不法就労させたことを挙げています。
本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドライン(令和6年3月改定)の適用前の判断です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
- 第2の3(イ)(消極):他の外国人の不法就労や在留資格の偽装に関わる行為。自己経営の店での不法就労は、この項目の中心です。
- 第2の3(エ)(消極):自ら売春を行い又は他人に売春を行わせる等、社会秩序を著しく乱す行為。本件の売春従事はこれに対応します。事例集の記載は簡潔で、その範囲でのみ触れます。
- 第2の6(消極):入管法24条3号の4は不法就労助長行為を退去強制事由とします。刑事処分の有無とは別に、この事実自体が評価の対象です。
- 第2の2(1)(ウ)(積極になりきれなかった):婚姻約3年3月があり在日も約16年ですが、子はなく、二つの重い消極要素を上回りません。また摘発による発覚のため、第2の9の積極要素もありません。
結論を分けた一線はどこか
ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本件は素行の消極要素が二つ重なり、婚姻と在日期間だけでは天秤が動きませんでした。
同年A類型の許可第4事例は、不法入国で在日約6年7月の全部が違反期間でしたが、出頭申告で婚姻約2年4月に未成年の子1人があり、刑事処分もなく許可されました。違反態様の重さより素行面の消極要素の有無が結論を分けていると考えられます。
弁護士のコメント
第1に、不法就労助長では、雇い入れた外国人の在留資格をどこまで確認したかという故意・過失の評価が争点になり得ます。在留カードの提示を受けたか、偽造を疑うべき事情があったかです。入管実務は退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用を続けており、松村大介弁護士はその当否を問う訴訟を係争中です。認識の内容を丁寧に立証することが後の主張の基礎になります。
第2に、入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象とし、全部執行猶予を除外しますので、本件の判決は同号に当たりません。不許可となっている点に、素行に関する評価の重さが表れています。認識を争い不起訴処分を獲得できていれば、評価の前提が変わった可能性があります。断定はできませんが、余地はあったと考えられます。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
不法就労助長は、公表事例では不許可が並ぶ類型です。もっとも各年20件前後の抜粋から見える傾向です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、この類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。
不法就労助長罪に問われて強制退去の危機に直面した女性の事案では、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務の当否を問う訴訟を進めております。この事件では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得しております。
特殊詐欺の出し子とされた20代の女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在などを総合的に主張し、不起訴処分を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
外国人を雇用する立場にある方の事案では、確認の経緯と認識の内容を早い段階で記録に残しておくことが後の主張を支えます。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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