舟渡国際法律事務所

令和元年・婚姻約16年5月・違反期間約7月でも不許可|窃盗の判決と前科4件・被退去強制歴3回の事例(A類型不許可第4事例)

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令和元年・婚姻約16年5月・違反期間約7月でも不許可|窃盗の判決と前科4件・被退去強制歴3回の事例(A類型不許可第4事例)

令和元年・婚姻約16年5月・違反期間約7月でも不許可|窃盗の判決と前科4件・被退去強制歴3回の事例(A類型不許可第4事例)

2026/08/06

事例の概要

婚姻期間が16年を超え、在留資格を失っていた期間は約7月。それでも不許可となった事例です。出入国在留管理庁が公表した令和元年分事例集のA類型(配偶者が日本人)不許可第4事例です。

違反態様は不法残留及び刑罰法令違反、端緒は警察逮捕です。在日期間は約20年5月、うち違反期間は約7月です。日本人配偶者との婚姻期間は約16年5月で、子はありません。刑事処分は、窃盗により懲役1年4月の判決です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。不許可の事情として窃盗等の前科4件と被退去強制歴3回が挙げられています。実刑か執行猶予かは記載から判明しません。

本件は令和5年改正入管法及び現行ガイドライン(令和6年3月改定)の適用前の判断です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

  • 第2の2(1)(ウ)(積極になりきれなかった):婚姻約16年5月は、この年のA類型で最長です。もっとも子はなく、この要素だけでは消極要素を上回りません。
  • 第2の5(消極になりにくい):違反期間は約7月と短く、在日約20年5月の大部分は正規の在留と読めます。
  • 第2の6(消極):退去強制理由となった事実の反社会性。窃盗は公表事例で不許可の側に並ぶ罪名です。
  • 素行・被退去強制歴(消極):同種の前科4件と退去強制歴3回。ガイドラインは素行不良を特に考慮する消極要素とし、退去強制の繰り返しは両面で重く働きます。
  • 第2の9(当たらない):警察逮捕による発覚のため、出頭申告による積極要素はありません。

結論を分けた一線はどこか

数字は一見許可に近いものです。婚姻は16年超、違反期間は約7月にすぎません。それでも不許可になったのは、前科4件と退去強制歴3回という反復の記録が期間の長さを打ち消したためと読めます。

同年A類型の許可第5事例は、不法入国で摘発により発覚し違反期間は約12年2月でしたが、婚姻約3年に未成年の子1人があり刑事処分がなく許可されています。期間の数字より素行面の履歴が判断を支配していると見えます。

弁護士のコメント

第1に、入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますが、全部執行猶予は除外されます。本件の量刑は1年4月で、実刑であれば同号に当たり得ますが、全部執行猶予であれば当たりません。事例集はどちらかを記載しておらず、この分岐は量刑の見通しを立てる段階で押さえるべき点です。

第2に、財産犯では被害額と被害回復、示談の成否が処分に直結します。起訴前に被害弁償を尽くし不起訴処分を獲得できていれば、この罪による退去強制事由該当性を生じさせずに済んだ可能性があります。断定はできませんが、余地はあったと考えられます。

第3に、被退去強制歴がある事案では前回との違いを示す必要があります。前回の経緯、その後の生活の変化、婚姻の実体を時系列で整理し、違反審査の段階から提出しておくことが要です。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集の掲載は各年20件前後です。前科や退去強制歴のある事案の許可例が見当たらないのも抜粋内の話です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)の松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。

特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案では、徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議により、全件について不起訴処分を獲得しております。再逮捕が重なる局面での方針の立て方が、その後を大きく左右いたします。

観光目的で来日された方が在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された事案では、婚姻と認知を当局と交渉して成立させ、過去の許可事例を分析した上で、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予でも結果として退去強制となりますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

前科が重なる事案では、目の前の事件の処分をどう獲るかが、そのまま在留の可否につながります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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