舟渡国際法律事務所

令和2年・不法入国のまま在日約22年1月、被退去強制歴があり不許可|刑事処分がなくても生活基盤だけでは許可されなかった事例(D類型不許可第4事例)

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令和2年・不法入国のまま在日約22年1月、被退去強制歴があり不許可|刑事処分がなくても生活基盤だけでは許可されなかった事例(D類型不許可第4事例)

令和2年・不法入国のまま在日約22年1月、被退去強制歴があり不許可|刑事処分がなくても生活基盤だけでは許可されなかった事例(D類型不許可第4事例)

2026/08/06

事例の概要

長く暮らしていることが、それだけでは積極要素にならない場合があります。令和2年分事例集(出入国在留管理庁公表)のD類型(その他)不許可第4事例で、結論は不許可です。違反態様は不法入国、端緒は職員探知で、在日約22年1月・違反約22年1月です。在日期間の全部が違反期間に当たります。刑事処分の欄は「無」です。事例集の特記事項には、被退去強制歴があることが記されています。在留希望の理由は、本邦に生活基盤があることでした。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前・改定前ガイドラインの下での判断です。

  • 消極要素・第2の6:不法入国。入国の局面から違法な状態が始まっています。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。
  • 消極要素・第2の5:約22年1月の不法在留。長期化が明示的に消極要素と位置づけられたのは令和6年改定であり、本事例当時は積極にも消極にもなり得るとされていました。現在の評価は当時と異なり得ます。
  • 消極要素・その他:被退去強制歴があること。
  • 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は職員探知)。
  • 積極要素・その他:本邦に生活基盤があること。第2の5には、不法在留の間に日本人や地域社会との関係を構築している場合は別途積極要素として考慮するという留保がありますが、本事例で具体的な関係についての記載はありません。

結論を分けた一線はどこか

本事例と対比すべきは、同年D類型の許可第3事例です。そちらは在日約22年・違反約16年で年月はほぼ同じでありながら、本国において治療困難な病気にり患していたこと、自ら出頭したことにより特定活動(1年)が認められました。両者の差は、人道上の必要性の有無、出頭申告の有無、そして被退去強制歴の有無です。年月の長さは、それ自体では天秤を許可の側に傾ける力を持ちません。とくに令和6年改定後は、長期化それ自体が明示的な消極要素とされています。

弁護士のコメント

刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。

第1に、長期の在留をどう主張するかです。「生活基盤がある」という一言では、第2の5の留保に載りません。就労と納税の実績、地域社会での役割、支援してくれる第三者の存在、地域のルールを守ってきた経過を、資料として具体的に示す作業が必要です。違反調査の段階から積み上げるべきものです。

第2に、被退去強制歴がある場合の見通しです。一度退去強制を受けた経緯は、それだけで判断を厳しくします。この経緯がある方が再び本邦での在留を求める場合、上陸拒否の期間との関係を含めて、どの手続で何を主張するのかを整理してから動く必要があります。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集はその年の判断を網羅せず、20件前後の抜粋にとどまります。長期の不法在留かつ被退去強制歴という組合せで許可例が見当たらないとしても、積極要素の立証の仕方によって評価が変わる余地はあります。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻・認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど得られない状況下でも有利な資料を集め、入管当局の過去の許可事例の分析により1回の申請で在留特別許可を獲得いたしました。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

長く暮らしてきたという事実は、その中身を資料で示してはじめて力を持ちます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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