令和2年・売春従事で風俗営業法違反の罰金100万円、被退去強制歴もあり不許可|在日約18年3月の生活基盤では上回らなかった事例(D類型不許可第1事例)
2026/08/06
事例の概要
罰金であっても在留への影響は小さくありません。令和2年分事例集(出入国在留管理庁公表)のD類型(その他)不許可第1事例で、結論は不許可です。違反態様は売春従事、端緒は警察による逮捕で、在日約18年3月です。違反期間の欄には原典で斜線が引かれています。刑事処分は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反により罰金100万円の判決でした。在留希望の理由は、本邦に生活基盤があることです。事例集の特記事項には、被退去強制歴と条例違反による罰金の前科があることが記されています。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。
- 消極要素・第2の3(エ):自ら売春を行い、又は他人に売春を行わせる等、社会秩序を著しく乱す行為は、特に考慮する消極要素とされます。本事例の違反態様はここに当たります。
- 消極要素・第2の6:退去強制の理由となった事実の反社会性の程度。売春従事の事実が入管法24条各号のいずれに当たるかは、事案ごとに条文に当たって確認する必要があります。
- 消極要素・その他:被退去強制歴と条例違反による罰金の前科。
- 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は警察による逮捕)。
- 積極要素・その他:在日約18年3月の生活基盤。もっとも在留を求める理由はこれにとどまり、家族関係(第2の2)や人道上の配慮(第2の7)に当たる記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
第2の3(エ)は特に考慮する消極要素であり、生活基盤の長さだけでこれを上回るのは容易ではありません。そこに被退去強制歴と前科が重なりました。天秤は当初から消極側に傾いていたと読めます。対比すべきは同年D類型の許可第8事例です。人身取引被害者として公的機関に保護された事案で、許可されています。置かれた場が外形として似ていても、被害を受けた立場と自ら行った立場とでは、ガイドラインの上で評価が正反対の方向に向きます。この違いは本類型で最も重要な点です。
弁護士のコメント
刑事処分がある事例です。2点を述べます。
第1に、罰金と入管法の構造です。入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由としますので、罰金の判決はこれには当たりません。それでも退去強制手続が進むのは、別の号の該当性と素行の評価が問題となるためです。刑事段階で不起訴処分を獲得できていれば、素行に関する消極要素の評価そのものを生じさせずに済んだ可能性があります。断定はできませんが、罰金で終わる事件でも、入管手続への波及を見据えた方針が必要です。
第2に、被退去強制歴の重みです。一度退去強制を受けた後の再度の違反は、判断を厳しくする方向に働きます。この経緯がある場合、積極要素の立証はより具体的でなければなりません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋で、その年の判断の全体ではありません。消極要素が重い類型でも、積極要素の立証の仕方で結果が動く場合があります。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。
特殊詐欺の出し子とされた20代の女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在等を総合的に主張し、不起訴処分を獲得いたしました。
観光目的で来日した相談者が在留資格を失った事案では、入管当局の過去の許可事例を分析して主張を組み立て、1回の申請で在留特別許可を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
罰金で終わる事件であっても、在留への影響を見据えた初動が要点となります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
----------------------------------------------------------------------
舟渡国際法律事務所
住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
電話番号 :050-7587-4639
東京にて中国人の方をサポート
東京を中心に刑事事件の弁護
----------------------------------------------------------------------