舟渡国際法律事務所

令和2年・人身取引被害者として公的機関に保護され特定活動(1月)|摘発で発覚し早期帰国を希望した事例(D類型許可第8事例)

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令和2年・人身取引被害者として公的機関に保護され特定活動(1月)|摘発で発覚し早期帰国を希望した事例(D類型許可第8事例)

令和2年・人身取引被害者として公的機関に保護され特定活動(1月)|摘発で発覚し早期帰国を希望した事例(D類型許可第8事例)

2026/08/06

事例の概要

在留特別許可が在留の継続ではなく安全な帰国のために用いられる場合があります。令和2年分事例集(出入国在留管理庁公表)のD類型(その他)許可第8事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は摘発で、在日約3月・違反約3月です。刑事処分の欄は「無」で、被退去強制歴の記載はありません。在留希望の理由の欄は原典で斜線が引かれています。事例集の特記事項には、人身取引被害者として公的機関に保護され、早期の帰国を希望したものと記されています。被害の内容には立ち入りません。許可内容は特定活動(1月)です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。

  • 積極要素・第2の7:人道上の配慮として列挙されるのは治療の必要性、本国情勢による帰国困難、無国籍です。本事例は列挙には当たりませんが、被害者として公的機関に保護された経緯が考慮されたと読めます。
  • 被害者性が認められる場合の評価は、自ら売春を行い又は他人に売春を行わせる等の行為(第2の3(エ))が特に考慮する消極要素として働く事案とは、全く異なります。置かれた場が外形として似ていても、被害を受けた立場と他者を利用した立場は、ガイドライン上別の扱いを受けます。この類型で最も重要な点です。
  • 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は摘発)。それでも許可されています。
  • 消極要素・第2の5と第2の6:約3月の不法在留と不法残留。期間は短く、比重は限られます。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。

結論を分けた一線はどこか

決定的だったのは、公的機関による保護という客観的な裏付けであったと読めます。端緒が摘発であっても、被害者性が認められた場合には第2の9の欠如が結論を左右しません。許可内容が特定活動(1月)と短い点からは、在留の継続ではなく安全に帰国するための地位として用いられたことがうかがえます。同年D類型の不許可第1事例は売春従事で罰金の判決と被退去強制歴があり不許可でした。被害を受けた立場と、自ら行った立場とでは、評価は正反対の方向に向きます。

弁護士のコメント

刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。

第1に、初期の記録です。違反の外形だけを追う調査では、本人が置かれていた状況が記録に残らないことがあります。どのような経緯で本邦に来て、誰の管理の下にあったのかが早い段階で記録されるかが、その後の評価を左右いたします。捜査機関の通訳とは別に、ご本人のために動く通訳を確保する意味もここにあります。

第2に、帰国の意思の扱いです。帰国を希望される場合であっても、退去強制令書による送還と在留特別許可を経た出国とでは、その後の再入国に関わる立場が異なります。意思と安全の確保を手続に反映させる必要があります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集の掲載は各年20件前後です。人身取引の被害に関わる事案は性質上公表されにくく、公表事例の数が実情を表すものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

海外のSNSでの侮辱被害につき、日本の警察と国際刑事警察機構の捜査により刑事告訴が受理された事例を扱っております。被害を受けた立場からの手続にも対応してまいりました。

国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件への対応実績も有しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

被害を受けた立場にある方の場合、その立場を手続の早い段階で記録に残すことが要点となります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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