舟渡国際法律事務所

令和2年・在留期間更新許可申請の失念で不法残留、日系3世が自ら出頭して定住者(1年)|在日約8年8月・違反約5月で在留特別許可(D類型許可第5事例)

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令和2年・在留期間更新許可申請の失念で不法残留、日系3世が自ら出頭して定住者(1年)|在日約8年8月・違反約5月で在留特別許可(D類型許可第5事例)

令和2年・在留期間更新許可申請の失念で不法残留、日系3世が自ら出頭して定住者(1年)|在日約8年8月・違反約5月で在留特別許可(D類型許可第5事例)

2026/08/06

事例の概要

手続を忘れたという一点で在留資格を失った方の事例です。令和2年分事例集(出入国在留管理庁公表)のD類型(その他)許可第5事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は出頭申告で、在日約8年8月に対し違反期間は約5月にとどまります。刑事処分の欄は「無」で、被退去強制歴の記載はありません。在留希望の理由は、本邦に生活基盤があることでした。事例集の特記事項には、在留期間更新許可申請を失念したものであり、日系3世であると記されています。許可内容は定住者(1年)です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。

  • 積極要素・第2の9:自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
  • 積極要素・その他:約8年8月にわたる在留と、その間に築かれた生活の基盤や地域社会との関係。
  • 積極要素・その他:違反状態が生じた原因が更新申請の失念にとどまり、在留を継続する意図で不法な状態を作り出したものではないこと。帰責性の程度を減じる事情です。
  • 日系3世であることは、第2の4が挙げる本邦入国の経緯(インドシナ難民・第三国定住難民・中国残留邦人)には当たりません。もっとも許可内容が定住者(1年)とされた点には、身分関係に基づく在留資格の該当性が反映されていると読めます。
  • 消極要素・第2の5と第2の6:約5月の不法在留と不法残留。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。期間は短く、比重は限られます。

結論を分けた一線はどこか

第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本事例は、8年8月の在留に対して違反期間が約5月にとどまり、しかもその原因が手続の失念でした。同年D類型の不許可第1事例も本邦に生活基盤があることを理由に挙げ、在日約18年3月と本事例より長期でしたが、売春従事という違反態様に加えて罰金の判決と被退去強制歴があり不許可です。在留期間の長さではなく、違反状態がどのように生じたかが結論を分けたと考えられます。

弁護士のコメント

刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。

第1に、動く時期です。更新の期限を過ぎた場合、違反期間が短いうちに手続へ入ることが有利に働きます。本事例の違反期間は約5月です。気付いた時点で相談し、出頭の準備と資料の収集を並行して進めるのが実務です。

第2に、身分関係の立証です。日系3世としての在留資格の該当性を主張する場合、出生や親族関係を示す本国発行の公的書類と、その訳文が必要になります。書類が得にくい国では、代替となる資料を積み重ねる作業が生じます。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しませんので、収集は早い段階で始めるべきものです。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋で、その年の許可の全体ではありません。掲載がないことは、同種の事情で許可された例がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

特殊詐欺の出し子とされた20代の女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在等を総合的に主張し、不起訴処分を獲得いたしました。

観光目的で来日した相談者が在留資格を失った事案では、入管当局の過去の許可事例を分析して主張を組み立て、1回の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

更新の期限を過ぎてしまった場合でも、経緯を示す資料をそろえて早く動くことに意味がございます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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