令和2年・実の親が所在不明となった連れ子、義理の親の監護養育を受け定住者(1年)|幼少時に入国し本邦で就学、在日約9年4月で在留特別許可(D類型許可第4事例)
2026/08/06
事例の概要
日本で育った子が実の親を頼れなくなった場合の事例です。令和2年分事例集(出入国在留管理庁公表)のD類型(その他)許可第4事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は出頭申告で、在日約9年4月・違反約4年2月です。刑事処分の欄は「無」で、被退去強制歴の記載はありません。在留希望の理由は、このまま日本で教育を受けたいというものでした。事例集の特記事項には、本人が日本人の配偶者である外国人の連れ子(未成年)で、実の親が所在不明となり義理の親の監護・養育を受けていること、幼少時に入国し本邦の教育機関で教育を受けていることが記されています。許可内容は定住者(1年)です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。
- 積極要素・第2の2(3):本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、本国での就学が困難で、地域社会に溶け込んでいる者とその監護養育者。幼少時に入国して本邦の教育機関で教育を受けているという記載は、この中核に当たります。
- 積極要素:本邦で家族とともに生活する子の利益の保護の必要性(明示は令和6年3月改定・参議院附帯決議14項)。
- 第2の2(1)(2)との関係:本人は日本人の実子ではありませんから第2の2(1)には当たらず、義理の親との関係も同項(2)が想定する構造とは異なります。それでも監護養育の実態が実質的に評価されたと読めます。
- 積極要素・第2の9:自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
- 消極要素・第2の5と第2の6:約4年2月の不法在留と不法残留。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。
結論を分けた一線はどこか
第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。決定的だったのは、幼少時からの就学という本邦で積み上げた事情と、実の親が所在不明になったという本人に帰責性のない経緯と読めます。同年D類型の不許可第2事例も教育を理由に挙げますが、そちらは本国に住む外国籍の子を呼び寄せて本邦の教育を受けさせたいという希望でした。すでに受けている教育の継続と、これから受けさせたいという希望とでは、ガイドライン上の位置づけが異なります。
弁護士のコメント
刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。
第1に、監護養育の実態の立証です。同居の状況、生活費の負担、学校との関わり、進路の相談を誰が担うかが中心です。実の親と連絡が取れなくなった経緯も、経過を追える形で記録に残します。
第2に、本国での就学困難の立証です。第2の2(3)は本国での就学が困難な事情も求めます。使用言語、これまでの教育課程、本国に受け入れる親族がいるかを具体的に示します。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋で、その年の許可の全体ではありません。家族関係が条項の形に当てはまらないとしても、実態が評価されて許可に至った例はあります。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻・認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して主張を組み立て、1回の申請で在留特別許可を獲得いたしました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
家族の形が条項に収まらない場合でも、監護養育の実態を資料で示すことに意味がございます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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