舟渡国際法律事務所

令和2年・本国で治療が困難な病気のため特定活動(1年)|在日約22年・違反約16年でも出頭申告で在留特別許可(D類型許可第3事例)

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令和2年・本国で治療が困難な病気のため特定活動(1年)|在日約22年・違反約16年でも出頭申告で在留特別許可(D類型許可第3事例)

令和2年・本国で治療が困難な病気のため特定活動(1年)|在日約22年・違反約16年でも出頭申告で在留特別許可(D類型許可第3事例)

2026/08/06

事例の概要

治療の必要性が長期の不法在留を上回った事例です。令和2年分事例集(出入国在留管理庁公表)のD類型(その他)許可第3事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は出頭申告で、在日約22年・違反約16年です。刑事処分の欄は「無」で、被退去強制歴の記載はありません。在留希望の理由は、本邦で病気治療を受けたいというものでした。事例集の特記事項には、本国において治療困難な病気にり患していると記されています。病名や治療の内容は記載されておらず、事例集の記載からは判明しません。許可内容は特定活動(1年)です。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。

  • 積極要素・第2の7(1):難病等で本邦での治療を必要とすること。本事例はこの要素の中核に当たります。本国において治療が困難であるという点が、本邦で治療を続ける必要性を裏付けます。
  • 積極要素・第2の9:自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
  • 積極要素・その他:約22年にわたる在留と、その間に築かれた生活の基盤や地域社会との関係。
  • 消極要素・第2の5:約16年の不法在留。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定であり、現在の評価は当時と異なり得ます。
  • 消極要素・第2の6:不法残留。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。第2の3の素行不良の記載はありません。

結論を分けた一線はどこか

約16年の不法在留は、それ自体として重い消極要素です。それを上回ったのは、本国で治療が困難であるという点であったと読めます。第2の7(1)は人道上の配慮の中でも要素が具体的に示されており、医学的な裏付けが得られれば天秤に載せやすい部類に属します。同年D類型の不許可第4事例も在日約22年1月と長期でしたが、端緒は職員探知で被退去強制歴があり、在留を求める理由は生活基盤のみでした。長期在留それ自体ではなく、そこに人道上の必要性が加わるかどうかが分かれ目と考えられます。

弁護士のコメント

刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。

第1に、医学的な立証の組み立てです。診断書だけでなく、治療の内容と継続の必要性、そして本国で同じ治療を受けることが困難な理由まで踏み込んだ資料が求められます。最後の点は主治医の意見だけでは足りず、本国の医療体制に関する客観的な資料が支えになります。

第2に、動く順序です。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。診断と治療方針が固まってから出頭するのか、先に出頭するのかは、身柄の扱いと治療の継続の双方を見て決める事柄です。仮放免の見通しも含めて事前に検討しておく必要があります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集はその年の許可を網羅せず、各年20件前後の抜粋にとどまります。治療を理由とする事案は病名も治療内容も公表されませんので、公表事例の数から自分の見通しを測ることはできません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻・認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど得られない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得いたしました。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

治療の必要性を理由とする場合、本国では治療が困難であることまで示せるかが要点となります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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