令和2年・家族3人が在日約8月・違反約8月で警察に逮捕され不許可|子に本邦の在学歴がなく積極要素が乏しかった事例(C類型不許可第1事例)
2026/08/06
事例の概要
違反期間が短いことは、それだけでは許可に結び付きません。令和2年分事例集(出入国在留管理庁公表)のC類型(外国人家族の場合)不許可第1事例で、結論は不許可です。本人の違反態様は不法残留、端緒は警察による逮捕で、在日約8月・違反約8月です。事例集が家族構成として挙げるのは配偶者と子で、いずれも不法残留・在日約8月・違反約8月、子の年齢は12歳です(判定時のもの)。子は本邦の教育機関における在学歴がないと特記されています。刑事処分、被退去強制歴、在留希望の理由の記載はありません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。
- 消極要素・第2の6:家族3人ともに不法残留です。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。
- 消極要素・第2の5:約8月の不法在留。期間自体は短く、比重は限られます。
- 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は警察による逮捕)。
- 積極要素・第2の2(3):この要素は本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受けたことを前提とします。子は在学歴がないと明記され、これに当たりません。監護養育者としての親の立場も、同じ前提に立つ以上、援用が難しくなります。
- 積極要素:本邦で家族とともに生活する子の利益の保護の必要性(明示は令和6年3月改定)。もっとも本邦での生活が約8月にとどまる以上、比重は限られると読めます。第2の3の素行不良、第2の7の人道上の配慮に当たる記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。本事例の消極要素は不法残留と約8月の不法在留にとどまり、それ自体重いものではありません。それでも不許可となったのは、天秤の反対側に置く積極要素が乏しかったためと読めます。同年C類型の許可第1事例は違反期間が約17年と本事例よりはるかに長いにもかかわらず許可されており、違いは子3人が本邦で出生していたことと家族全員で自ら出頭したことでした。C類型では、子について本邦で何を積み上げたかが結論を大きく左右します。
弁護士のコメント
刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。
第1に、端緒の選び方です。警察による逮捕で発覚すると、第2の9の積極要素は得られません。出頭申告という選択ができるのは、違反が判明する前の段階に限られます。在留期間の満了に気付いた時点で相談することに意味があるのは、この一点によります。
第2に、在学歴の位置づけです。第2の2(3)は相当期間の教育を求めます。来日から日が浅く就学の実績がない段階では、この要素を用いられません。子を伴って在留される場合、就学の手続を早く進めておくことが、後の主張の土台になります(一般的な解説です)。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
積極要素の乏しい事案が並ぶ一方で、事例集はその年の許可を網羅していません。掲載は各年20件前後です。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。傾向は出発点であって結論ではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、入管当局の過去の許可事例を分析して主張を組み立て、1回の申請で在留特別許可を獲得いたしました。国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも、有利な資料を収集して臨みました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
来日から日が浅い段階での違反は、積み上げた事情が乏しいままの判断になりがちです。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
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