令和2年・在日約23年8月・違反約18年2月、本邦出生で在留資格未取得の子3人と家族全員が出頭申告|家族4人とも定住者(1年)(C類型許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
20年を超えて本邦で暮らしたご家族の事例です。令和2年分事例集(出入国在留管理庁公表)のC類型(外国人家族の場合)許可第2事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は出頭申告で、家族全員での出頭です。在日約23年8月・違反約18年2月で、両者の差は約5年6月です。事例集が家族構成として挙げるのは子3人で、いずれも本邦で出生した後に在留資格を取得しておらず、年齢は15歳、14歳、12歳です(年齢は判定時のもの)。刑事処分、被退去強制歴、在留希望理由の記載はありません。許可内容は家族4人とも定住者(1年)です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。
- 積極要素・第2の9:家族全員が自ら出頭して不法滞在を申告したこと。許可事例の大半がこの端緒であるのはC類型の傾向です。
- 積極要素・第2の2(3):本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、本国での就学が困難で、地域社会に溶け込んでいる者とその監護養育者。子3人は本邦で出生していますが就学状況の記載がなく、この要素に当たるかは判明しません。
- 積極要素:本邦で家族とともに生活する子の利益の保護の必要性(明示は令和6年3月改定・参議院附帯決議14項)。
- 消極要素・第2の5:約18年2月の不法在留。長期化が明示的に消極要素とされたのは令和6年改定であり、現在の評価は当時と異なり得ます。
- 消極要素・第2の6:不法残留。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。第2の3の素行不良の記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討します。18年余の不法在留は消極に働きますが、その年月が子3人の生育と重なり、家族全員が自ら出頭したことが天秤を傾けたと読めます。同年C類型の不許可第2事例は、在日約15年・違反約3年3月と本事例より短いものの、端緒は職員探知で、道路交通法違反による罰金の前科が2件あり、在留特別許可歴もありました。年月の長さではなく、その中身と発覚後の振る舞いが分かれ目と読めます。
弁護士のコメント
刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。
第1に、在留資格未取得の子の位置づけです。本邦で出生した子には在留資格を取得する手続が別に定められており、これを経ていない状態は親の不法残留とは別の問題です。出頭の前に、子それぞれについてどの在留資格の該当性を主張するのかを整理しておく必要があります。
第2に、立証の中身です。第2の2(3)は就学の実態、本国での就学困難、地域社会との関係を求めます。在学証明、学校生活の記録、地域活動、納税の状況が中心です。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しませんので、提出は違反審査の段階までに行います。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集はその年の許可を網羅せず、20件前後の抜粋にとどまります。近い許可例が見当たらないことは、可能性がないことを示しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻・認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、公的書類がほとんど得られない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得いたしました。
国際的な刑事事件、裁判員裁判の対象事件、世界的に報道された事件への対応実績も有しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
長く暮らしてきたご家族の場合、その年月に何が積み上げられたのかを資料で示せるかが要点となります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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