令和2年・本邦で生まれ在留資格を取得しないままの子3人と家族全員で出頭申告|在日約17年3月・違反約17年で家族4人とも定住者(1年)(C類型許可第1事例)
2026/08/06
事例の概要
日本で生まれた子が在留資格を持たないままになっているご家族に向けた事例です。令和2年分事例集(出入国在留管理庁公表)のC類型(外国人家族の場合)許可第1事例で、結論は許可です。違反態様は不法残留、端緒は出頭申告で、家族全員での出頭です。在日約17年3月に対し、違反期間は約17年です。事例集が家族構成として挙げるのは子3人で、いずれも本邦で出生した後に在留資格を取得しておらず、年齢は14歳、12歳、8歳です(年齢は判定時のもの)。婚姻期間、配偶者等の在留資格、刑事処分、被退去強制歴、在留希望の理由は記載がありません。許可内容は家族4人とも定住者(1年)です。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行(令和6年6月10日)前の判断です。
- 積極要素・第2の9:家族全員が自ら出頭して不法滞在を申告したこと。
- 積極要素・第2の2(3):本邦の初等中等教育機関で相当期間教育を受け、本国での初等中等教育が困難で、地域社会に溶け込んでいる者とその監護養育者。子3人は本邦で出生していますが、就学状況の記載はなく、この要素に当たるかは判明しません。
- 積極要素:本邦で家族とともに生活する子の利益の保護の必要性。明示は令和6年3月改定(参議院附帯決議14項)です。
- 消極要素・第2の5:約17年の不法在留。長期化が明示的に消極要素とされたのも令和6年改定です。
- 消極要素・第2の6:不法残留。どの号に当たるかは条文に当たって確認する必要があります。第2の3の素行不良の記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するとします。約17年の不法在留は、それ自体では消極に働きます。それでも許可に至ったのは、その年月が本邦で生まれた子3人の生育の年月とほぼ重なり、家族全員が自ら出頭したことによると読めます。同年C類型の不許可第1事例は、本人・配偶者・子のいずれも在日約8月・違反約8月と短く、子は本邦の教育機関における在学歴がなく、警察による逮捕で発覚しました。期間の長短よりも、その期間に何が積み上げられたかが分かれ目と読めます。
弁護士のコメント
刑事処分の記載がない事例です。2点を述べます。
第1に、出頭の組み立てです。本邦で出生した子に在留資格がない場合、親の不法残留と子の在留資格未取得は法的な位置づけが異なります。誰について何を申告し、どの在留資格の該当性を主張するのかを、出頭の前に整理しておく必要があります。家族の一部だけが出頭する形では、生活の一体性を示しにくくなります。
第2に、資料を出す時期です。注4は退去強制令書の発付後の事情変更を原則として考慮しません。子の在学と地域での生活を示す資料は、違反審査の段階でそろえるべきものです。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に載るのは各年20件前後で、その年の許可の全体ではありません。似た事情の許可例が見当たらないとしても、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失った事案では、婚姻・認知が未了で当局から一旦不受理とされたところ、憲法的観点から交渉して婚姻・認知を成立させ、国籍国発行の公的書類がほとんど存在しない状況下でも有利な資料を集め、1回の申請で在留特別許可を獲得いたしました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至りますので、起訴前の段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標といたします。松村弁護士が接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更は、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
家族全員での出頭を選ぶ場合、誰について何を主張するのかを事前に固めておくことが要点となります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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