舟渡国際法律事務所

令和3年・在日約11年4月でも覚醒剤取締法違反で不許可|稼働の継続と社会貢献の主張が届かなかった事例(D類型不許可第8事例)

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令和3年・在日約11年4月でも覚醒剤取締法違反で不許可|稼働の継続と社会貢献の主張が届かなかった事例(D類型不許可第8事例)

令和3年・在日約11年4月でも覚醒剤取締法違反で不許可|稼働の継続と社会貢献の主張が届かなかった事例(D類型不許可第8事例)

2026/08/06

事例の概要

日本社会に貢献したいという主張が積極要素として通るのかを考えさせる事例です。令和3年分事例集のD類型(その他)不許可第8事例で、結論は不許可でした。違反態様は薬物法令違反、発覚の端緒は警察逮捕で、在日約11年4月です(違反期間の欄は原典で空欄)。刑事処分は、覚醒剤取締法違反により懲役1年6月、執行猶予3年の判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。在留希望の理由は、稼働を継続し日本社会に貢献したいというものでした。婚姻、子、被退去強制歴の記載はありません。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行前かつ改定前の判断です。

  • 消極・第2の6:入管法24条4号チは薬物関係法令違反による有罪を退去強制事由とし、執行猶予でも該当します。4号リは全部執行猶予が除かれますので、本事例の刑は当たりません。
  • 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は警察逮捕)。
  • 第2の5について:違反期間の記載がありませんので、不法在留期間としての当てはめはできません。
  • 積極として挙げにくい点:第2の3は本邦への貢献を積極要素として挙げますが、それは社会・経済・文化等の分野で不可欠な役割を担っていることを求めるものです。稼働を継続したいという希望や貢献の意欲は、これに当たりません。家族関係や人道上の配慮についての記載もありません。

結論を分けた一線はどこか

同年D類型の許可第1事例は、脳疾患等による後遺症のため出国が困難であると認められた方の事案で、自ら出頭して特定活動(6月)が認められました。いずれも家族関係の記載はありません。分かれ目は、人道上の配慮に当たる具体的な事情があるか、素行の消極要素があるか、そして端緒が出頭申告かどうかにあります。在日約11年4月という期間の長さは、消極要素を上回る力を持たなかったと読めます。

弁護士のコメント

第1に、刑事段階の目標設定です。薬物関係法令違反は24条4号チにより執行猶予でも退去強制事由となりますので、執行猶予の獲得を最終目標に据える方針では在留の維持につながりません。不起訴処分を獲得できていれば、退去強制事由該当性そのものを生じさせずに済んだ可能性がありました。

第2に、貢献の主張の限界です。第2の3の貢献は要件が厳しく、就労を続けたいという希望とは評価の次元が異なります。在留を求める理由は、ガイドラインのどの要素に対応するのかを特定して組み立てる必要があります。

第3に、認識の争いです。薬物の所持や使用についての認識は事案によって争いになり得ます。逮捕直後からの弁護方針と、依頼者ご本人のために動く通訳の確保が、供述の正確さを左右します。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

公表される事例は各年20件前後の抜粋にとどまり、その年の判断の全体ではありません。同じ事情の許可例が見当たらないとしても、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。もっとも、傾向を覆せるとお約束するものではございません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者の事案では、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。裁判員裁判対象事件や報道された重大事件にも対応しております。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻と認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

薬物事件では、在留の長さや就労の実績が消極要素を覆す力を持ちにくいと考えられます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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