舟渡国際法律事務所

令和3年・勤務先の面接で偽造在留カードを提示、刑事処分がなくても不許可|ガイドライン第2の3(ウ)が決め手となった事例(D類型不許可第5事例)

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令和3年・勤務先の面接で偽造在留カードを提示、刑事処分がなくても不許可|ガイドライン第2の3(ウ)が決め手となった事例(D類型不許可第5事例)

令和3年・勤務先の面接で偽造在留カードを提示、刑事処分がなくても不許可|ガイドライン第2の3(ウ)が決め手となった事例(D類型不許可第5事例)

2026/08/06

事例の概要

刑事処分を受けていないにもかかわらず不許可となった事例です。令和3年分事例集のD類型(その他)不許可第5事例で、結論は不許可でした。違反態様は不法残留及び偽造在留カード行使、発覚の端緒は当局の摘発で、在日約9年・違反約4年です。刑事処分はありません。特記事項には、不法残留中、勤務先での面接時に偽造在留カードを提示し、その後も同所で就労を継続していたものと記載されています。在留希望の理由は、稼働を継続したいというものでした。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行前かつ改定前の判断です。

  • 消極・第2の3(ウ):在留カード等の公的書類の偽変造・不正受交付・行使・所持は、特に考慮する消極要素です。刑事処分がなくても、行為の事実自体が評価の対象になります。
  • 消極・第2の5:約4年の不法在留。
  • 消極・第2の6:不法残留と偽造在留カードの行使。どの号に当たるかは条文で確認する必要があります。
  • 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は当局の摘発)。
  • 積極として挙げにくい点:稼働の継続の希望は、ガイドラインが挙げる積極要素ではありません。家族関係や人道上の配慮の記載もありません。

結論を分けた一線はどこか

同年D類型の許可第4事例は、親子関係不存在審判の確定により遡って日本国籍を失った方の事案で、不法残留約4年1月でも定住者(1年)が認められました。不法在留の期間はほぼ同じです。違いは、不法な状態が本人の行為によって作られたかどうかにあります。偽造在留カードの提示によって就労を続けた本事例では、期間の長短ではなく行為の性質が結論を決めたと読めます。

弁護士のコメント

第1に、刑事処分がなくても不許可となる点です。刑事処分の有無と入管の評価は別の問題であり、不起訴を得ても素行の消極要素そのものは消えません。刑事弁護と入管手続を切り離さずに設計する必要があります。

第2に、認識の問題です。提示した書類が偽造であることの認識は、事案によって争いになり得ます。退去強制事由の判断に故意・過失は要件でないとする運用が長く踏襲されてきましたが、松村大介弁護士はこの点を問う訴訟を係争中です。断定的な結論を申し上げる段階ではありませんが、認識の有無は早い段階から主張しておく必要があります。

第3に、端緒です。当局の摘発による発覚は第2の9の積極要素を失わせます。違反審査の段階から、退去強制事由該当性そのものを争いつつ積極要素の資料を出しておくことになります。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋にとどまり、実際の許可件数のごく一部です。偽造書類が関わる事案の許可例が見当たらないとしても、許可の可能性がないことにはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型で在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分そのものの取消しを争っております。もっとも、必ず覆せると申し上げるものではございません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

不法就労助長罪に問われ退去強制の危機にあった女性の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務を問う訴訟を現在も継続しております。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻と認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

偽造書類が関わる事案では、刑事処分の有無にかかわらず素行の評価が残ることに留意が必要です。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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