舟渡国際法律事務所

令和3年・売春の周旋と不法就労助長で懲役3年・執行猶予5年、成人の子がいても不許可(D類型不許可第4事例)

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令和3年・売春の周旋と不法就労助長で懲役3年・執行猶予5年、成人の子がいても不許可(D類型不許可第4事例)

令和3年・売春の周旋と不法就労助長で懲役3年・執行猶予5年、成人の子がいても不許可(D類型不許可第4事例)

2026/08/06

事例の概要

消極要素が重なった事例です。令和3年分事例集のD類型不許可第4事例で、結論は不許可でした。違反態様は不法就労助長及び売春周旋、端緒は警察逮捕で、在日約12年11月です(違反期間の欄は原典で空欄)。刑事処分は、売春防止法違反、入管法違反(不法就労助長)により懲役3年、執行猶予5年の判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。特記事項には、事業活動に関し複数の外国人に不法就労活動をさせたものとあります。在留希望の理由は、日本にいる同国人の子(成人)と生活を続けたいというものでした。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行前かつ改定前の判断です。

  • 消極・第2の3(イ)(エ):他の外国人の不法就労に関わる行為と、他人に売春を行わせる等社会秩序を著しく乱す行為。特に考慮する消極要素が2つ重なります。
  • 消極・第2の6:入管法24条3号の4は不法就労助長行為を退去強制事由としています。24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑を対象としますが全部執行猶予は除かれ、本事例の刑はこの号に当たりません。
  • 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は警察逮捕)。
  • 積極として挙げにくい点:子は成人で同国人ですから、第2の2(1)の類型には当たりません。
  • なお、他人に売春を行わせる行為と、人身取引の被害者として保護された立場とは、評価が全く異なります。被害者性が認められる場合は、人道上の配慮として積極要素の側で評価されます。

結論を分けた一線はどこか

同年D類型の許可第8事例も親族関係を理由としますが、そこでは単独での日常生活が困難な母を介護する看護の必要性があり、定住者(1年)が認められました。本事例は親族関係の主張が第2の2(1)の類型に乗らず、しかも特に考慮する消極要素が2つ重なります。積極要素が消極要素を明らかに上回るという第3の枠組みでは、天秤は動きにくい構造だったと読めます。

弁護士のコメント

第1に、刑事段階の方針です。本事例の刑は全部執行猶予ですから24条4号リには当たりませんが、退去強制は避けられていません。号ごとに構造が異なり、執行猶予の獲得を最終目標に据える方針では在留の維持につながらない場面があります。起訴前に不起訴処分を獲得できていれば、素行の消極要素に有罪の裏付けを与えずに済んだ余地はありました。

第2に、不法就労助長の部分については、相手方の在留資格や就労の可否についての認識が争点となり得ます。退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用の当否は、松村大介弁護士が現に係争中の論点です。断定的な見通しは申し上げられませんが、認識の争いは刑事段階で尽くしておく必要があります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集に載るのは各年20件前後の抜粋であり、実際の許可件数のごく一部です。同じ罪名で許可された例が公表されていなくても、可能性がないことを示すものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型で在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分そのものの取消しを争っております。結果をお約束できるものではございません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

不法就労助長罪に問われ退去強制の危機にあった女性の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務を問う訴訟を現在も継続しております。

覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者の事案では、証拠の徹底した分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。裁判員裁判対象事件や報道された重大事件にも対応しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

消極要素が重なる事案では、刑事段階での方針設定が結果を大きく左右します。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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