舟渡国際法律事務所

令和3年・被退去強制歴あり、不法入国から約16年4月の滞在で不許可|生活基盤の主張だけでは足りなかった事例(D類型不許可第2事例)

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令和3年・被退去強制歴あり、不法入国から約16年4月の滞在で不許可|生活基盤の主張だけでは足りなかった事例(D類型不許可第2事例)

令和3年・被退去強制歴あり、不法入国から約16年4月の滞在で不許可|生活基盤の主張だけでは足りなかった事例(D類型不許可第2事例)

2026/08/06

事例の概要

長く日本で生活してきたことだけでは足りない場面を示す事例です。令和3年分事例集のD類型(その他)不許可第2事例で、結論は不許可でした。違反態様は不法入国、発覚の端緒は警察逮捕で、在日約16年4月・違反も約16年4月、つまり在日期間の全部が不法在留です。刑事処分はありません。特記事項には、被退去強制歴があると記載されています。在留希望の理由は、本邦に生活基盤があるというものでした。婚姻、子、家族の在留資格についての記載はありません。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行前かつ改定前の判断です。

  • 消極・被退去強制歴:一度退去強制を受けた後の再度の不法入国であり、消極要素として重く働きます。
  • 消極・第2の5:在日期間の全部にわたる約16年4月の不法在留。令和6年改定で長期化が明示的な消極要素と位置づけられました。
  • 消極・第2の6:不法入国の事実。
  • 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は警察逮捕)。
  • 積極として挙げにくい点:生活基盤があるという主張は、ガイドラインが特に考慮する積極要素として挙げる家族関係、人道上の配慮、出頭申告のいずれにも直接対応しません。第2の3の本邦への貢献は、社会・経済・文化等の分野で不可欠な役割を担っていることを求めるもので、生活の基盤があることとは別の評価です。

結論を分けた一線はどこか

同年D類型の許可第7事例も不法入国で、在日約10年11月の全部が不法在留でしたが、母の連れ子として幼少時に入国し本邦の教育機関で教育を受けていたこと、自ら出頭したことが評価されて定住者(1年)が認められました。期間の長短ではなく、不法な状態を作ったのが誰か、本邦との結びつきが教育や家族関係として具体化しているか、そして端緒が出頭申告かどうかで結論が分かれています。

弁護士のコメント

刑事処分がありませんので、3点を申し上げます。

第1に、刑事処分がなくても不許可になり得るという点です。刑事処分の有無と退去強制事由の有無は別の問題であり、不起訴となっても在留が保障されるものではありません。

第2に、端緒です。警察逮捕による発覚は、第2の9の積極要素を失わせます。被退去強制歴がある場合、再度の入国に至った経緯の説明が不可欠であり、それを自ら出頭して行えたかどうかは大きな差になります。

第3に、主張の組み立てです。生活の長さを述べるだけでは足りません。家族関係、健康上の事情、地域社会での役割など、ガイドラインの積極要素に対応する事情を特定し、違反審査の段階から資料で示す必要があります。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

公表される事例は各年20件前後の抜粋にとどまり、その年の判断の全体ではありません。被退去強制歴がある事案の許可例が見当たらないとしても、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。もっとも、傾向を覆せるとお約束するものではございません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻と認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

在留の長さそのものは積極要素になりにくく、対応する評価要素を特定した主張が必要になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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