舟渡国際法律事務所

令和3年・窃盗で懲役10月、前科2件で不許可|成人の同国人の子がいても許可されなかった事例(D類型不許可第1事例)

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令和3年・窃盗で懲役10月、前科2件で不許可|成人の同国人の子がいても許可されなかった事例(D類型不許可第1事例)

令和3年・窃盗で懲役10月、前科2件で不許可|成人の同国人の子がいても許可されなかった事例(D類型不許可第1事例)

2026/08/06

事例の概要

日本にいる子との生活を理由に在留を求めたものの、認められなかった事例です。令和3年分事例集のD類型(その他)不許可第1事例で、結論は不許可でした。違反態様は不法残留、発覚の端緒は警察逮捕で、在日約8年2月・違反約1年7月です。刑事処分は、窃盗により懲役10月の判決でした(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。特記事項には、窃盗の前科2件があると記載されています。在留希望の理由は、同国人の実子(成人)がいる日本で生活したいというものでした。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行前かつ改定前の判断です。

  • 消極・第2の6:窃盗による有罪と、同種の前科2件です。反社会性の程度に応じて評価され、同種前科の反復は重く働きます。
  • 消極・第2の5:約1年7月の不法在留。
  • 第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は警察逮捕)。
  • 積極として挙げにくい点:子は成人で、しかも同国人です。第2の2(1)は未成年で未婚の日本人等の実子を監護養育していることを挙げるものですから、本事例は当たりません。子の在留資格の記載がないため、第2の2(2)に当たるかも判断できません。
  • 入管法24条4号リは無期又は1年を超える拘禁刑に処せられた者を対象としますので、懲役10月はこの号には当たりません。どの号に当たるかは条文で確認する必要があります。

結論を分けた一線はどこか

同年D類型の許可第3事例は、日本国籍を有する実子を監護養育していた方の事案で、不法残留約4年9月でも定住者(1年)が認められました。親族関係を在留の理由に挙げる点は共通しますが、その関係が第2の2(1)の類型に乗るかどうかが決定的です。本事例では、加えて同種前科の反復と警察逮捕による発覚が消極要素の側に積み上がっており、天秤は動かなかったと読めます。

弁護士のコメント

第1に、刑事段階です。同種前科がある事案では量刑が重くなりやすく、量刑が上がれば入管法24条4号リに触れる可能性も生じます。本事例の刑は同号の対象には至っていませんが、不法残留それ自体で退去強制手続は進みます。窃盗について不起訴処分を獲得できていれば、素行の消極要素を生じさせずに済んだ余地はありました。

第2に、初動です。逮捕直後の72時間は勾留の判断までの分岐点であり、依頼者ご本人のために動く通訳を確保できるかどうかが供述の正確さを左右します。被害の回復や示談の可能性を早期に検討することも、不起訴の獲得に直結します。

第3に、親族関係の主張です。成人の子との関係は、それだけでは積極要素になりません。同居や扶養の実体など、別の角度からの主張を組む必要があります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集に載るのは各年20件前後の抜粋であり、実際の許可件数のごく一部です。財産犯の事案で許可された例が見当たらないとしても、許可の可能性がないことにはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型で在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分そのものの取消しを争っております。もっとも、必ず覆せると申し上げるものではございません。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。

特殊詐欺の出し子とされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を総合的に主張し、不起訴処分を獲得しております。

特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案では、徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議により、全件不起訴処分を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

財産犯の事案では、素行の消極要素を作らないことがそのまま在留の維持につながります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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