令和3年・実の親が所在不明、日本人里親の監護養育を受ける方に特定活動(1年)|児童の保護が評価された事例(D類型許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
親の所在が分からなくなった子について、本邦での保護が認められた事例です。令和3年分事例集のD類型(その他)許可第2事例で、結論は許可でした。違反態様は不法残留、発覚の端緒は出頭申告で、在日約1年・違反約10月です。刑事処分はありません。在留希望の理由は、日本人里親との本邦での生活のためというものでした。特記事項には、実の親が所在不明となっており、日本人里親の監護・養育を受けているものと記載されています。許可内容は特定活動(1年)です。年齢や就学状況は事例集の記載からは判明しません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行前かつ改定前の判断です。
- 第2の2(1)には当たりません。里親は日本人ですが、同項は日本人の実子であることや日本人との婚姻を要件とする類型を挙げており、里親関係はここに含まれません。
- 積極・人道上の配慮:第2の7が列挙するのは治療の必要性、本国情勢による帰国困難、無国籍者の送還不能であり、本事例はそのいずれにも直接当たりません。もっとも、実の親が所在不明で監護の受け皿が本邦にしかないという事情が、人道上の配慮として実質的に評価されたと読めます。
- 積極・第2の9:自ら出頭したこと。同項は第三者の支援や地域社会との関係も考慮の対象としています。
- 積極:家族とともに生活する子の利益の保護の必要性(明示は令和6年3月改定)。
- 消極・第2の5:約10月の不法在留で、期間は短いものです。
結論を分けた一線はどこか
不法な状態が生じたことについて本人を責めることが難しく、かつ監護の受け皿が本邦にあることが決定的だったと読めます。許可が定住者ではなく特定活動(1年)であるのは、身分関係に基づく資格に乗らないことの反映と考えられます。同年D類型の不許可第4事例は、成人した同国人の子が日本にいることを理由に在留を求めたものですが、売春の周旋と不法就労助長により有罪判決を受け不許可でした。保護を必要とする立場か、社会秩序を乱した立場かで、評価は大きく異なります。
弁護士のコメント
刑事処分がありませんので、2点を申し上げます。
第1に、公的機関の記録です。里親としての監護の経緯、児童相談所や自治体の関与、学校や医療機関との関わりを示す資料が中心になります。関係者の陳述だけでは足りない場面が多くあります。
第2に、手続上の支援です。本人が若年である場合、誰が手続を進め、誰が通訳するかによって供述の正確さが変わります。当事務所は、依頼者ご本人のために動く通訳を確保する体制を採っております。注4により令書発付後の事情変更は原則として考慮されませんので、支援者の関与も早い段階で形にしておく必要があります。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
公表される事例は各年20件前後の抜粋にとどまり、実際の許可件数のごく一部です。自分と同じ立場の許可例が見当たらないとしても、それは許可の可能性がないことを示すものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型で在留特別許可を得ており、その後も違反認定処分そのものの取消しを争っております。結果をお約束できるものではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。
不法就労助長罪に問われ退去強制の危機にあった女性の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務を問う訴訟を現在も継続しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
保護を必要とする立場にあることは、公的な記録によって示すことが要点になります。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
微信ID:matsumura1119
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住所 : 東京都豊島区高田3丁目4-10布施ビル本館3階
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