令和3年・虚偽の在留期間更新許可申請書を作成・行使、職員探知でも家族4人に定住者(1年)|本邦出生の子3人が評価された事例(C類型許可第2事例)
2026/08/06
事例の概要
令和3年分事例集(出入国在留管理庁公表)のC類型許可第2事例です。結論は許可で、家族4人とも定住者(1年)が認められました。本人の違反態様は虚偽文書作成及び行使、端緒は入管職員の探知で、在日約24年です(違反期間の欄は原典で空欄)。子3人はいずれも本邦出生で、子1は在留資格取消・在日約18年・18歳、子2は不法残留・在日約11年・違反約3年7月・11歳、子3は不法残留・在日約4年11月・違反約1年6月・4歳です(年齢は判定時)。子1に不正に更新許可を受けさせる目的で、内容虚偽の申請書を作成し行使したものと記載されています。刑事処分の記載はありません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行前かつ改定前の判断です。
- 積極・第2の2(3):子3人は在日期間が年齢と重なり、生活の全部を本邦で送ってきたと読めます。就学状況の記載はありませんが、監護養育者である本人も同項の対象です。
- 積極:家族とともに生活する子の利益の保護の必要性(明示は令和6年3月改定)。
- 消極・第2の3(イ):他の外国人の在留資格の偽装に関わる行為。子1に不正に在留資格を得させる目的の虚偽申請ですから、特に考慮する消極要素に当たり得ます。公的書類の偽変造等を挙げる(ウ)に当たるかは別に検討を要します。
- 消極・第2の5:子2は約3年7月、子3は約1年6月の不法在留です。第2の9の出頭申告には当たりません(端緒は職員探知)。
結論を分けた一線はどこか
特に考慮する消極要素があり、自ら出頭したものでもないのに許可されています。天秤を傾けたのは、子3人がいずれも本邦で生まれ、18歳・11歳・4歳それぞれの生活が本邦にしかないこと、本人の在日が約24年に及ぶことだと読めます。同年C類型の不許可第1事例は、2歳の子と共に不法残留の状態にあり、本人が覚醒剤取締法違反により有罪判決を受けて不許可でした。子が本邦で過ごした時間の厚みと、消極要素の性質の違いが結論を分けたと考えられます。
弁護士のコメント
刑事処分の記載がありませんので、2点を申し上げます。
第1に、虚偽文書が問題となる事案では、内容の虚偽性の認識が争点となり得ます。退去強制事由の判断に故意・過失を要しないとする運用が長く踏襲されてきましたが、松村大介弁護士はこの点を問う訴訟を係争中です。認識の有無を早い段階から争うことが、後の入管手続での主張の基礎になります。
第2に、子1について在留資格の取消しがなされている点です。取消しの手続における対応は、後の違反審査・口頭審理での主張と切り離せません。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しませんので、家族全員分の在学と生活の資料は早めに整えるべきものです。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に載るのは各年20件前後の抜粋です。素行の面に消極要素がある類型でも、本事例のように許可された例が現に公表されています。当事務所が担当した不法就労助長の事案も、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分そのものの取消しを争っております。傾向は出発点であって結論ではありませんが、覆せるとお約束はできません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護と入管手続を主たる注力分野としております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。
不法就労助長罪に問われ退去強制の危機にあった女性の事案では、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得し、退去強制事由に故意・過失を要しないとする従来の実務を問う訴訟を現在も継続しております。
特殊詐欺の出し子とされた20代女性の事案では、指示役からの欺罔や脅迫的な状況、犯意の不存在を総合的に主張し、不起訴処分を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
素行の面に消極要素がある場合でも、家族の生活の実体をどのように示すかで結論は変わり得ます。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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