令和3年・家族4人そろって出頭申告、12歳の子2人と共に不法残留で定住者(1年)|在日約19年で許可された事例(C類型許可第1事例)
2026/08/06
事例の概要
出入国在留管理庁が令和4年5月に公表した令和3年分事例集のC類型(外国人家族の場合)許可第1事例です。結論は許可で、家族4人ともに定住者(1年)が認められました。本人は不法残留、在日約19年・違反約1年10月で、端緒は出頭申告で、家族全員で出頭したものです。配偶者も不法残留で在日約13年・違反約1年8月。子2人はいずれも不法残留、在日約12年2月・違反約1年2月、12歳です(年齢は特別審理官の判定時のもの)。刑事処分と被退去強制歴の記載はなく、子の就学状況も判明しません。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
当てはめは令和6年3月改定の現行ガイドラインによります。本事例は改正入管法施行前かつ改定前の判断です。
- 積極・第2の2(3):子2人は12歳で在日約12年2月ですから、生育のほぼ全部を本邦で過ごしたと読めます。もっとも同項が挙げる本邦の初等中等教育機関での就学の記載はなく、要件充足は断定できません。監護養育者の本人と配偶者も同項の対象です。
- 積極:家族とともに生活する子の利益の保護の必要性。明示は令和6年3月改定(参議院附帯決議14項)です。
- 積極・第2の9:自ら出頭したこと。家族全員での出頭です。
- 消極・第2の5:不法在留期間。長期化が明示的な消極要素とされたのも令和6年改定で、従前は積極にも消極にもなり得るとされていました。
- 消極・第2の6:不法残留の事実。どの号に当たるかは条文で確認する必要があります。第2の3の素行不良に当たる記載はありません。
結論を分けた一線はどこか
積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可の方向で検討するのがガイドライン第3です。天秤を傾けたのは、在日約19年のうち違反が約1年10月にとどまったこと、子2人が生育の全部を本邦で過ごしていること、家族4人がそろって自ら出頭したことだと読めます。同年C類型の不許可第2事例は、8歳の子と共に在日約6年1月の全部が不法残留、発覚は警察逮捕で、本人に被退去強制歴がありました。在留の履歴と端緒が対照的です。
弁護士のコメント
刑事処分がありませんので、初動と立証を中心に2点。
第1に、出頭の単位です。C類型の許可事例は家族全員又は母子での出頭申告が大半を占めます。誰とともに出頭するかは、家族の生活の一体性を示す最初の行為です。
第2に、出頭より前に資料を整えることです。手続は違反調査から異議申出まで段階を追って進み、在留特別許可は最後の判断ですが、そこで初めて動いても間に合わないことがあります。注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しません。在学状況、地域との関わり、家計の一体性を示す資料が中心です(必要な資料は事案によります)。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集に載るのは各年20件前後の抜粋で、その年の判断の全体ではありません。同じ事情の許可例が見当たらないことは、許可の可能性がないことを意味しません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可の後も違反認定処分の取消しを争っております。もっとも、傾向を覆せるとお約束するものではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
観光目的で来日した相談者が日本人女性との間に子を授かったものの在留資格を失い、不法滞在で逮捕・起訴された事案では、当局から一旦不受理とされた婚姻と認知を憲法的観点からの交渉により成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析して、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は起訴前段階からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続終了後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
家族で不法滞在の状態にある場合、出頭の前に何をそろえるかが結論を左右いたします。本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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