舟渡国際法律事務所

令和3年・配偶者が永住者・出頭申告でも不許可|婚姻・同居の実態が認められず被退去強制歴もあった事例(B類型不許可第1事例)

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令和3年・配偶者が永住者・出頭申告でも不許可|婚姻・同居の実態が認められず被退去強制歴もあった事例(B類型不許可第1事例)

令和3年・配偶者が永住者・出頭申告でも不許可|婚姻・同居の実態が認められず被退去強制歴もあった事例(B類型不許可第1事例)

2026/08/06

事例の概要

配偶者が永住者で、自ら出頭し、刑事処分もない事案でも不許可となることがあります。令和3年分事例集(出入国在留管理庁が令和4年5月公表)のB類型(配偶者が正規に在留する外国人の場合)不許可第1事例です。

違反態様は不法残留、端緒は出頭申告です。在日期間は約4年4月、違反期間は約4年3月、婚姻期間は約1年9月で、夫婦間に子はありません。配偶者の在留資格は「永住者」です。刑事処分はありません。特記事項として、婚姻・同居の実態が認められなかったこと、被退去強制歴があることが記載されています。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

現行ガイドライン(令和6年3月改定)に当てはめます。本件は令和5年改正入管法の施行前、かつ改定前の判断です。

  • 積極・第2の9:不法滞在の事実を申告するため自ら出頭したこと。
  • 家族関係・第2の2(2):別表第二の在留資格を有する者との家族関係で第2の2(1)に準じるものが積極要素です。配偶者の「永住者」は別表第二ですが、第2の2(1)は相当期間の共同生活と相互の扶助を前提とします。同居の実態が認められない本件では、この積極要素は働きません。
  • 消極:被退去強制歴。一度退去強制を受けた後に再び違反状態に至ったことは、重い消極要素として働きます。
  • 消極・第2の5:不法在留期間約4年3月。
  • 消極・第2の6:退去強制理由となった不法残留の事実。

結論を分けた一線はどこか

対比は同じ令和3年B類型の許可第1事例です。そちらは在日約4年4月と本件と同じで、配偶者も永住者、端緒も出頭申告、刑事処分もなしという共通点があります。違いは、婚姻期間が約4年1月あり、婚姻・同居の実態に疑義がなく、被退去強制歴の記載もない点です。結論は許可で、「永住者の配偶者等(1年)」が認められました。

ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可を検討するとします。本件は、家族関係という最も重い積極要素が土台から欠け、被退去強制歴という重い消極要素が加わったため、出頭申告だけでは天秤が動かなかったと読めます。

弁護士のコメント

第1に、被退去強制歴がある場合の組み立てです。過去の退去強制の経緯と、その後に本邦での生活を選んだ理由を、資料に基づいて具体的に示す必要があります。事例集の傾向としても、被退去強制歴は不許可側に繰り返し現れる要素です。

第2に、同居の実体の立証です。住民票や賃貸借契約書、家計の一体性を示す記録、日々の連絡や生活の記録などを、違反審査の段階でまとめて提出しておくことが考えられます。ガイドラインの注4により、退去強制令書の発付後の事情変更は原則として考慮されません。認定や判定に不服を留保せずに進んでしまうと、争点が事実上封じられる場面もあります。何が必要かは事案により異なります。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋にとどまり、その年の判断を網羅していません。似た事情の不許可例が載っていることは、許可の可能性がないことの証明にはなりません。当事務所が担当した不法就労助長の事案は、公表事例では不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後もなお違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

在留資格を失い不法滞在で逮捕・起訴された相談者の事案では、婚姻と認知が未了として一旦は受理されなかったところ、憲法的な観点から当局と交渉して成立させ、入管当局の過去の許可事例を分析することで、1度の申請で在留特別許可を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

出頭申告は有利な事情ですが、それだけで結論が決まるものではございません。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

微信ID:matsumura1119

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