舟渡国際法律事務所

令和3年・不法入国から約11年9月の長期不法在留でも在留特別許可|婚姻約3年9月・子なし・出頭申告の事例(A類型許可第4事例)

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令和3年・不法入国から約11年9月の長期不法在留でも在留特別許可|婚姻約3年9月・子なし・出頭申告の事例(A類型許可第4事例)

令和3年・不法入国から約11年9月の長期不法在留でも在留特別許可|婚姻約3年9月・子なし・出頭申告の事例(A類型許可第4事例)

2026/08/06

事例の概要

10年を超える不法在留があり、夫婦間に子もない事案でも許可が出ています。令和3年分事例集(出入国在留管理庁が令和4年5月公表)のA類型(配偶者が日本人の場合)許可第4事例で、「日本人の配偶者等(1年)」が認められました。

違反態様は不法入国、端緒は出頭申告です。在日期間は約11年9月、違反期間も約11年9月で、在日期間の全部が違反にあたります。婚姻期間は約3年9月、夫婦間に子はありません。刑事処分はなく、被退去強制歴の記載もありません。

ガイドラインのどの評価要素に当たるか

現行ガイドライン(令和6年3月改定)に当てはめます。本件は令和5年改正入管法の施行前、かつ改定前の判断です。

  • 積極・第2の2(1)(ウ):日本人と法的に婚姻し、相当期間共同生活をして相互に扶助し、婚姻が安定かつ成熟していること。婚姻約3年9月が当たります。同項は「夫婦間に子があるなど」と例示する書き方であり、子がないことが直ちに否定に働くものではありません。
  • 積極・第2の9:不法滞在の事実を申告するため自ら出頭したこと。
  • 消極・第2の5:約11年9月という不法在留期間の長期化。
  • 消極・第2の6:不法入国という退去強制事由。具体的にどの号に当たるかは、事案ごとに条文に当たって確認する必要があります。

子がないため子の利益の要素は働かず、素行不良(第2の3)の記載もありません。

結論を分けた一線はどこか

対比は同じ令和3年A類型の不許可第4事例です。そちらは在日約23年10月と本件よりさらに長く、違反期間は約8月と短く、婚姻期間も約2年2月ありましたが、不許可でした。事例集には売春の周旋に関する有罪判決と、賭博による罰金の前科が記載されています。

ガイドライン第3は、積極要素が消極要素を明らかに上回る場合に許可を検討するとします。結論を分けたのは期間の長さではなく、第2の3(エ)にあたる素行の消極要素の有無であったと読めます。長期の不法在留それ自体は、家族関係の実体と出頭の経緯によって上回られる余地が残ると考えられます。

弁護士のコメント

第1に、長期の在留を消極要素だけで終わらせない構成です。長期化が明示的に消極要素と位置づけられたのは令和6年3月改定で、従前は積極にも消極にもなり得るとされていました。改定後も、その間に築いた地域社会との関係や納税の状況、第三者の支援は別途積極要素として考慮される余地が残ります。年数を隠すのではなく、その中身を示す方向で組み立てることになります。

第2に、資料を出す段階です。手続は違反調査、違反審査(認定)、口頭審理(判定)、異議申出と進み、ガイドラインの注4は令書発付後の事情変更を原則として考慮しないとしています。住民票や家計の一体性を示す記録に加え、地域での活動や納税を示す資料も、早い段階で出しておきたいものです。

公表されていない事案でも許可はあり得ます

事例集は各年20件前後の抜粋であり、その年の許可事案のすべてではありません。似た事情の許可例が載っていないことは、許可の可能性がないことを示すものではありません。当事務所が担当した不法就労助長の事案では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を得ており、許可後も違反認定処分の取消しを争っております。

当事務所のご案内

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、中国籍の方を中心とする外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)が担当いたします。

不法就労助長罪に問われて強制退去の危機に直面した女性の事案では、退去強制事由に故意・過失を要しないとしてきた実務の当否を問う訴訟を進めております。この事件では、公表事例に不許可が並ぶ類型でありながら在留特別許可を獲得しております。

特殊詐欺の受け子として複数回再逮捕された事案では、徹底した取調べ対応と不当な取調べへの抗議により、全件について不起訴処分を獲得しております。

多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、起訴前からの不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。松村弁護士は接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当し、外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐しております。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。

結語

長い不法在留を抱える事案では、その年数の中身を積極要素として語り直す作業が要になります。

本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。

本記事は2026年8月時点の情報です。

執筆者

松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士

第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)

舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)

中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。

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ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/

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