令和4年・永住者が住居侵入・強盗致傷・覚醒剤取締法違反で懲役6年、在日約15年11月でも不許可(D類型不許可第4事例)
2026/08/06
事例の概要
令和4年分事例集のD類型(その他)不許可第4事例です。結論は不許可でした。発覚の端緒は警察による逮捕で、違反態様は薬物法令違反および刑罰法令違反です。在日期間は約15年11月で、違反期間の欄は原文で斜線となっています。刑事処分は、住居侵入、強盗致傷、覚醒剤取締法違反により懲役6年の判決です(懲役は事例集公表当時の原典表記であり、現行法では拘禁刑に相当します)。不許可の理由として記載された事情は、在留資格が「永住者」であったこと、在留希望の理由が本邦に生活基盤があるというものであったことです。
ガイドラインのどの評価要素に当たるか
消極要素は次のとおりです。
- 第2の6:退去強制理由となった事実の反社会性。身体に対する侵害を含む犯罪と薬物法令違反が併存しています。
- 第2の3:素行が善良でないと評価される事情。
- 警察逮捕による発覚であり、第2の9の「自ら出頭したこと」に当たりません。
積極要素は、永住者として約15年11月にわたり在留してきた生活の基盤にとどまります。家族関係についての記載はなく、第2の2の各号に当たる事情は読み取れません。第2の7の人道上の配慮に当たる事情の記載もありません。本件は令和5年改正入管法およびガイドライン改定の前の判断です。
結論を分けた一線はどこか
同じ令和4年D類型の許可第7事例は、在日約30年5月の方が、継続的な治療を要する疾病により自力での生活が困難であるとして特定活動(1年)を得たものでした。本件の在日期間は約15年11月で、在留資格も永住者でしたが、身体に対する侵害を含む犯罪と薬物法令違反による長期の実刑という消極要素の重さが、生活基盤という積極要素を大きく上回ったと読めます。在留の長さや在留資格の安定性は、それ自体で結論を導くものではないと考えられます。
弁護士のコメント
第1に、退去強制事由の構造です。入管法24条4号チは薬物関係法令違反による有罪を、実刑か執行猶予かを問わず退去強制事由としています。加えて、同号リは無期または1年を超える拘禁刑に処せられた者を退去強制事由とし、全部執行猶予の場合を除いています。本件は双方に該当し得る事案であり、現行法では50条1項ただし書により、在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情がある場合に限り許可されます。第2に、こうした構造から、薬物事件では起訴前段階からの活動が決定的です。仮に薬物に関する部分について不起訴処分を得られていれば、少なくとも4号チによる該当性は生じなかった余地があると考えられます。もっとも本件の刑事処分は複数の罪名にわたるものであり、断定はできません。
公表されていない事案でも許可はあり得ます
事例集は各年20件前後の抜粋であり、公表されていない事案は多数あります。当事務所は、公表事例では不許可が並ぶ不法就労助長の類型で在留特別許可を獲得し、許可を得た後も違反認定処分そのものの取消しを争っております。もっとも、薬物法令違反と重大な暴力を伴う犯罪が併存する事案は消極要素が極めて重く、結果をお約束できるものではございません。
当事務所のご案内
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区)は、外国人の刑事弁護と入管手続に注力しております。担当は松村大介弁護士(第一東京弁護士会・登録番号59077・2019年登録)です。
覚醒剤取締法違反(営利目的所持)で起訴された依頼者について、徹底した証拠分析と被告人質問・反対尋問により無罪判決を獲得しております。 裁判員裁判の対象事件や国際的に報道された重大事件にも対応してまいりました。
多くの罪名では執行猶予判決でも結果として退去強制に至るため、当事務所は不起訴処分の獲得を最優先の目標に据えております。
松村弁護士は、接見の初動から公判の結審まで全工程を直接担当いたします。外国人事件に精通した中国語の専属通訳が常駐し、依頼者ご本人のために動きます。刑事手続後の在留資格の更新・変更も、提携する行政書士とワンストップで対応いたします。
結語
複数の罪名が問題となる事案では、罪名ごとの入管法上の扱いを踏まえた方針が必要になります。
本記事は一般的な解説であり、個別事案については弁護士に直接ご相談ください。過去の解決事例は個別の事情に基づくものであり、同様の結果を保証するものではございません。
本記事は2026年8月時点の情報です。
執筆者
松村 大介(まつむら だいすけ)/弁護士
第一東京弁護士会所属(登録番号:59077/2019年登録)
舟渡国際法律事務所(東京都豊島区高田三丁目4番10号 布施ビル本館3階)
中国籍の依頼者を中心とする外国人刑事弁護・入管手続を主たる注力分野とする。
舟渡国際法律事務所
ウェブサイト:https://matsumura-lawoffice.jp/
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